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6月8日に読む本は、殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く― 長谷川 博一

2001年6月8日、宅間守は、大阪教育大学附属池田小学校に不法侵入し、児童・教職員を刃物で刺した。

2001年6月8日は

大阪教育大学附属池田小学校で、宅間守が児童を無差別に殺傷した日

2008年6月8日、加藤智大は東京都の秋葉原で、歩行者の列にトラックで突っ込んだ。さらにトラックから降り、歩行者を刃物で刺した。

2008年6月8日は

東京都の秋葉原で、加藤智大が歩行者を無差別に殺傷した日

6月8日は、無差別殺傷事件が2度も起きている日です。

臨床心理士の著者が、殺人犯を獄中取材し、なぜ犯罪を犯すに至ったのか、を報告した本を紹介します。

母親に暴力をふるう父親 – 宅間守

(母親は)毎日、殴られよった。壁は血だらけになっとったな

新潮文庫版、24ページ

幼児期までの親(養育者)との関係を通して、愛着形成が行われる。虐待・ドメスティックバイオレンスが行われている家庭で育った子どもは、愛着形成が上手くいっていないことがある。

愛着形成に失敗した=反社会的行動、では必ずしもない。しかし、重大な犯罪を犯す人間は、愛着形成に失敗していることが多い。この本で紹介する10人は、すべて愛着形成に失敗している。

父親が「守少年」に直接手をあげる記述は、この本にはなかったです。けれども、母親が日常的に殴られるのは、間近で見ていた子どもに大きな影響があったでしょう。

母のしつけ – 加藤智大

「お風呂で九九を教えてもらいました。湯船にはいっている間に暗唱しなさいと言われました」
「お母さんも一緒にお風呂に入っていたのですか?嫌な記憶はありますか?」
「間違えるとお風呂に沈められました。頭を押さえつけられて沈められました」

新潮文庫版、278ページ

本人は自分の興味から工業高校を希望するも、母親は進学校に進めることを実質的に強制する。智大少年は、母親から「よい子」に振舞うことを強制されていた。著者によると、「光」と「影」のうち、「影」の部分をうまく制御できないと、大きな悪となってしまう。

「よい子」であれ、と、24時間よい子でいようとすると、それは子どもにとっては負荷がかかりすぎるのだろうね。

養育者に恵まれなかった(愛されない、虐待を受ける等)子どもが、大人になって犯罪を犯す。犯罪が良くないのはもちろんですが、「なぜ犯罪者が生み出されたのか」について調査していくことは重要ですね。

この本は心理学者によるものなので、犯罪者の育てられた環境など原因を調査していく話がメインです。犯罪の根っこに、こういった原因もあることが分かってきたので、次は行政が動き、虐待される子どもを減らしていく方向に進むと良いですね。

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ブックレコメンド編集部

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