不思議の国のアリス(ルイス・キャロル)の次に読む本は

あらすじ

懐中時計を手に走っていくウサギを追って、深い深い穴を落ちていくアリス。たどり着いたのは、しゃべるドードー鳥や死刑宣告が好きな女王、三月うさぎや帽子屋、チェシャ猫ら奇妙な住人が暮らす異世界だった。体が大きくなったり小さくなったりしながら、めちゃくちゃなクリケットに参加させられたり、裁判にかけられたりするアリス。果たして元の世界に帰ることができるのか?  

sheep2015
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「マトリックス」などの有名映画を始め、数多くのオマージュを受けた作品ですが、読んでみるとそのハチャメチャなストーリーに驚かされます。アリスと登場人物たちの会話はかみ合わないことがほとんどで、アリスもただ奇妙な世界をさまようばかり。見事なストーリー展開を期待していると肩透かしを食うかもしれません。

しかし本作はチェシャ猫のような個性豊かなキャラクターや、「体が大きくなったり小さくなったりする薬」のような考察欲をかき立てられるような設定でその持ち味を存分に発揮してくれます。ストーリーだけが小説の魅力ではないと再確認させられる作品です。

次に読む本

飛ぶ孔雀(山尾悠子)

万華鏡のような小説。カタカナやアルファベットの没個性的な名前の登場人物、火を運ぶ娘を追って飛ぶ孔雀、地下のダクトを這う大蛇。突如開催される大園遊会に、頭骨を集めた謎のラボ。読み進めるにつれ、幻想的だが脈絡が無いように見える各節が、「火が燃え難い」という設定に束ねられてまとまりを持った物語として表れてくる。

sheep2015
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一見筋らしい筋が見当たらないので、あらすじを書くことが困難な小説です。かといって、読みづらい小説かというとそうでもありません。「火が燃え難い」という設定は全編で変わらない上に、名前や、時に性別さえ変えながらも各節に繰り返し登場する人物たちの存在が筋とは言えなくても何らかの話のつながりを感じさせます。  何の脈絡もないかのように見えて、深読みすると関連が浮かび上がりそうな各節をつなぎ合わせながら、作者が描きたかった世界を読者の手で再構築していく、そんな他にはない読書経験をさせてくれる作品です。

sheep2015
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小説と言えば筋=ストーリーが不可欠と思い込みがちですが、そんな先入観を取り払ってくれる二作品を選びました。わずかな手がかりから自分なりのストーリーを考察してみたり、あるいはキャラクターや世界観、表現の魅力に着目するなど、明確な筋書きを与えられなくても小説を楽しむ方法はいくらでもあります。メディアが日々発信する「卑近でわかりやすい物語」に毒されて想像力を失わないためにも、たまには明確なストーリーが無い小説の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

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