当サイトでは、アフィリエイト広告を利用しています

1月18日に読む本は、東大落城安田講堂攻防七十二時間 佐々 淳行

研修医への待遇をめぐって、大学と学生との間で対立がおき、暴行事件まで発生した。大学と学生とで交渉が行われ、合意し、収拾した。しかし一部の過激なグループは東大に立てこもった。警察は、東京大学へ機動隊を派遣し、籠城する学生たちを強制排除することにした。

1969年1月18日は

東大安田講堂に機動隊が出動した日

機動隊の課長による本です。 東大安田講堂の攻防の様子が詳細に描かれています。紙の書籍は入手しにくくなっていますが、電子版が発行されています。

東京大学に立てこもる学生たちはバリケードを築いて守りを固めていた。そこに機動隊が突入をしかけると、学生たちは火炎瓶やコンクリートブロック、塩酸や硫酸まで、さまざまな物を使って攻撃してくる。

学生側は、機動隊員に死者が出ることを厭わなかった。「機動隊員を十人、殺す」という過激な意見もあったらしい。

一方、機動隊は学生たちを、殺さずに検挙するようにしていた。自分たちに犠牲者を出さず、相手にも犠牲者を出さない、というのは非常に大変だった。

安田講堂に立てこもった学生をすべて検挙したのは、翌日19日の午後5時46分のことだった。警察の負傷者は710人(うち重傷31人)、学生の負傷者は47人 (うち重傷1人)、一般人の負傷者が14人だった。

機動隊が「相手を殺さない」ことを全うしたことは凄いですね。あたかも戦争のように、自分たちの命の危険があるような状況だったのに。

ニュースではあまり取り上げられない、兵站のお話もありました。

物資調達・会計・経費

役所の予算決めの問題。機動隊の装備を防火対応にするのに、役所の標準だと翌年度の予算で実施、となるが、それだと間に合わない。そのため実際に出動して負傷した隊員、焼け焦げた出動服で警察庁に直訴する。

当日は現場で食事を配給するが、そのための予算が足りない。当時の予算は、隊員一人あたり一日100円だったらしい。食事を配給したが、3,000万の赤字になった。予算は翌年しかつかない。しかたなく第一課長だった著者が、立替え払いする。住宅ローン名目で個人的に借金したらしい。

ニュースでは突入シーンや火炎瓶が炎上するシーンをよく目にしますが、あまり表に出てこないところでも苦労があったのですね。

兵站のお話が興味深かったです。機動隊が活動するにはコストがかかります。有事の活動費用と、平時の予算とを、どううまく折り合いをつけていくのか、というのは悩ましいですね。当時は個人が立替え払いという策で乗り切りましたが、現在は改善されていることを期待したいです。

この記事を書いた人

ブックレコメンド編集部

ブックレコメンド編集部

雑談のネタ作りに役立つ、今日読む本を日替わりで紹介してまいります。

  • ブックマーク