ダブル・ファンタジー 村山由佳の次に読む本は

あらすじ

37歳の高遠奈津は「脚本家・高遠ナツメ」として執筆活動をおくりながらも、夫である省吾とのセックスレスや「女として見られていない」無関心の抑圧に耐えられないでいた。ある日尊敬する劇作家・志澤との逢瀬がきっかけで、己の性欲の強さを知る。彼からの助言で省吾の家から出る決心をした奈津は、そこから呼吸するように数ある男性と逢瀬を重ねていく。後輩役者の岩井良平、裏方スタッフの大林和也、そして師匠と崇める志澤。「人の数だけ、セックスの種類がある」。日本最高峰の官能物語、開幕。

光薫
光薫

村山由佳さんは「女の欲」を描くのがとても秀逸です。ヒトが違えばセックスのスタイルも違うことが痛いほど伝わる丁寧な描写で、禁断のテーマである「エロス」をこれでもかというほど深堀します。高遠奈津という女性が抑圧から解放された時、初めて「女らしさ」をふんだんにさらけ出す様は彼女の幸せを示しているのではないかと感じました。

次に読む本

ミルク・アンド・ハニー 村山由佳

幾度の逢瀬で自分の正体に気づいた奈津は、夫である省吾との離婚を決意。そして大林との同棲をスタート。その裏で脚本家として香港と日本を往復する生活に。それでも「もう一度あの快楽を味わいたい」という欲望のままに、岩井や志澤との逢瀬を重ねる。さらに、20年ぶりに会った従兄である武のどの男性とも違うテクニックにも強烈に魅了されていく。そして武との関係と並行し家族の問題ものしかかり…。奈津が逢瀬の先に求めた幸せとは。日本最高峰の官能小説、遂に完結。

光薫
光薫

奈津が思う幸せとは、「素直に誰かを愛せて女として認めてもらうこと」のように感じました。奈津にとって、セックスはあくまで人を知るための手段でしかない。省吾や大林との生活で生じた軋轢や誤解も、最後の武との逢瀬で何もかも突破われた時の奈津の表情は、とても活き活きしているように見えました。女性としての幸せを求めた奈津が、最後には幸せになれる結末になっていました。

光薫
光薫

どちらも官能小説ですが、「女とは、男とはどういう生き物か」という哲学の問いを逢瀬を通して徹底的に問いかけます。人間の3大欲求の1つである性欲は、一定の年齢に達すると異常なまでに膨らむという話を聞いたことがあるので、読むきっかけになりました。普段は出てこない表情や感情が、すべて脱がされた時一気に溢れでる。ヒトの本能の強さや「人間らしさ、欲望の強さ」を味わいたい方におすすめです。




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