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1月13日に読む本は最後の喫煙者(筒井康隆)

1946年1月13日は

ピース(煙草の銘柄)が発売された日

たばこの日らしいので、喫煙を題材にした小説を取り上げます。「世にも奇妙な物語」(フジテレビ系列)でドラマ化されているそうです。

喫煙者への迫害がどんどんエスカレートしていく様子を面白おかしく描いた短編です。

宗教とか正義とか善とかいう大義名分がある時ほど人間の残虐行為がエスカレートする時はないのだ。

最後の喫煙者(筒井康隆)より

主人公は愛煙家の小説家。タバコが手放せない。タバコ嫌いの編集者との打ち合わせを拒否したりする。主人公は田舎暮らしであったが、都会では喫煙者への弾圧がどんどん進んでいた。

公園の立て看板で「犬と喫煙者立入るべからず」と書かれる。
列車の喫煙車両はろくに清掃されておらず、喫煙者は他の車両へは入れない。
タバコ屋が村八分にされる。

ついには、喫煙者が白昼路上で殺される。

小説家の家も、石を投げられて窓ガラスが割れたり、塀に落書きされたり、とかなり危険に。愛煙家の同志の日下部さんとともに、国会議事堂へ行く。死ぬ直前までタバコを吸うためだ。国会議事堂の二人は自衛隊に包囲される。催涙弾が投げ込まれ、催涙弾が頭にあたった日下部さんは死ぬ。ついに、喫煙者は小説家だけとなった。

タバコが健康に害であることは確かだが、だからといって、ここまで迫害をしても良いのだろうか?

インターネット時代になって、ネット上で私刑・リンチが起きている。この物語の展開とよく似ていて、ものすごく恐ろしい。

健康という観点から見れば、喫煙は悪である。だからといって、喫煙者を迫害しても良いのかどうか。

もちろん「禁煙の場所で吸う」「吸殻をポイ捨てする」などの行為があれば批判するのは妥当だろう。しかし、そうではなく「喫煙=悪」という考えで喫煙者自体を攻撃することは過剰反応だと思われる。

過剰反応で攻撃しすぎることは、なかなか自分では気づきにくい。私も、過去の行動を振り返ると、「過剰に攻撃していたな」と反省させられる。

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ブックレコメンド編集部

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