ドイツとソビエト連邦の間には、1939年8月23日に不可侵条約が締結されていた。ドイツは、条約を一方的に破り、ソ連に侵攻を開始した。
ナチスドイツがソ連に侵攻した日
ドイツとソ連の戦いを題材にした小説「同志少女よ、敵を撃て」を紹介します。ソ連軍の一員として、狙撃兵として戦った女性のお話です。
ソ連では、女性狙撃兵が実際に活躍したそうです。
田舎で暮らしていたセラフィマ。村はドイツに襲撃され、村人は殺される。母親も殺された。ソ連軍が到着し、セラフィマは助かる。
ソ連軍の狙撃兵イリーナは、セラフィマの母親の遺体を焼き、「戦いたいか、死にたいか」と突き付けられたセラフィマは、戦うことを選ぶ。狙撃兵としての訓練が始まる。
住んでいた村は全滅、自分だけ助かる、という状況で、戦うか、死ぬかを選ばされるのは、とても辛かっただろうと思います。
狙撃兵として活動するには、どんな状況にも対応できる精神的な強さ、が必要でしょうし、そこをイリーナは試したのかもしれませんけど。
セラフィマの他にも、何名かの女性が、狙撃兵として訓練を受ける。教官はイリーナ。厳しい訓練を受け、セラフィマ達も戦場へ向かう。
幼なじみのミハイル
セラフィマには、幼なじみミハイル(ミーシカ)がいた。ミハイルは、志願兵として戦争に出ていた。ミハイルと戦場で出会ったセラフィマ。
セラフィマは、戦場で女性が暴行されるのを見てきた。そこで、ミハイルに、女性に暴行したりしないよね?と尋ねると、ミハイルは決してしない、と。
戦場では理性を保つのは難しいのでしょう。はたしてミハイルは、セラフィマへ語った通りに振舞うのでしょうか。
ドイツとの闘いは勝勢に。セラフィマが見たものは…
当初はドイツに押されていたソ連軍が次第に巻き返し、勝利が見えてきた。ドイツ軍を破ったあと、セラフィマは、ミハイルたちを見つけた。
ミハイルの行動を見たセラフィマ。彼女はどうする?
「タイトルの伏線回収」が行われますね。ここまで来たら予想できる展開ですが、とても辛い場面でした。
戦争物、しかも海外の戦争が題材、ということで、難しそうかな?という印象を持っていました。しかし、実際に読み始めてみると、すごく面白くて、どんどん読んでしまいました。狙撃兵訓練を通じての成長や、百合っぽい要素、と戦争だけでなく盛りだくさんです。
アガサ・クリスティー賞受賞、ということですが、ミステリーの枠にとどまらず、読み応えがあって素晴らしい作品でした。この作品がデビュー作というのには驚かされます。
本屋大賞2022にもノミネートされたらしいです。上位入賞も期待できそうです。
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