あらすじ
夜中にスティックタイプの菓子パンを「くくーっと」喉に押し込む歌人、穂村弘さんのエッセイ集。世間の普通とはちょっとずれた自分自身を持て余しながらも、その独特な世界感を悲壮感なく綴っている。
amiek
作者の「それはあんまりだ」というエピソードには思わず笑ってしまうが、「世界音痴」ながら(ある程度は)社会に適合して生きていくその姿に励まされもする作品。
次に読む本
傷口から人生(小野美由紀)
いわゆる毒親のもとで育ち、不登校や自傷を経験した作者の自伝エッセイ。辛い経験を赤裸々に語り、最終的には自身を苦しめる問題に真っ向から向き合う潔い姿勢が気持ち良い。サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路を辿りながら、過去の自分と折り合いをつけていく作者の勇気に胸打たれる。
amiek
『世界音痴』を他人事と思えなかった人には、ぜひ『傷口から人生』も読んでもらいたい。これは、どちらの本の作者も世に言う「普通」からは逸脱している(ように見受けられる)からというだけでなく、そんな自分を冷静に分析しながらも「そんな自分でも、まるごと抱えて生きていく」と最終的には肯定するような強さと優しさがあると思うからだ。社会との摩擦に疲れてしまったときに、もう一度前を向く勇気と力をくれる応援歌としておすすめしたい。
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