百年の子(古内一絵)の次に読む本は

あらすじ

女性誌編集をしていた明日花に突然持ちかけられたのは、「学年誌創刊百年記念の企画展」の広報担当。全く乗り気ではない明日花は配属指示をした女上司や、産休復帰した同期を妬ましく思い、同じ企画展編集部員に打ち解けようとしない。しかし、かつて祖母が文林館で働いていたこと知った明日花は、戦中、戦後と昭和の荒波を経て令和四年に至るまでの「歩み」を遡って調べていく。言論統制が敷かれていた時の編集側、執筆側の苦しみや、昭和に勃発した炎上事件など乗り越えて、「ワクワクする本」を届ける為学年誌の編集を続けてきた出版社と、そこで働く編集者たちの物語。

以下、ネタバレ含みます

Doraの読書

令和の現在も発行されている子供の学年誌。時代を映す鏡のような学年誌の編集に奔走する編集者たちの様子や、ちょっと名前をもじった昭和の偉人、名作の数々に大興奮だった。

戦争の描写はリアルで、東京大空襲のシーンは自分も火の粉を被っているような気分になった。生き延びる為の情報発信者の選択に胸が痛んだ。
悲惨な戦争時代に憧れを追いかけて駆け回る女性スエの生き方が、昭和期を経て、娘や孫はもちろん、その他多くの人に影響を与えていることに、じんわりと感動を覚える。

本書は、現代の女性が仕事と子育てをする際の葛藤や苦悩にもスポットライトを当てている。子育てをしながら働くということは、やはり大変なのだ。素直な子供に育つよう、周囲の理解と協力が不可欠なのだと改めて実感した。

子育て中の方
子供の頃学年誌を読んでいた方
本を読んでワクワクしたことがある方
日本文学が好きな方など

に特にお勧めしたい。

次に読む本

出版業界の歴史を違う角度から眺めたみたい方にお勧め!

窪美澄(トリニティ)

主な登場人物は
鈴子
妙子
登紀子
1960年代に同じ出版社で顔を合わせた3人の女性。
仕事、夢、結婚、子育てと
女性が突き当たる問題をそれぞれが同じように抱えながら、決断し生きていくストーリー

Doraの読書

この本のテーマは「繋ぐ」だと思う。
意志を繋ぐのは、家族でなくてもいい。
見えない縁によって、その意志が繋がれた時、その人の生きてきた意味のようなものが見え、温かいものが心に広がる。

おススメポイント

Doraの読書

雑誌の出版という点は同じだが、
百年の子は編集側。
トリニティは寄稿する側の人を語る。
仕事と女性の生き方に触れていて、いろいろあっても最後にじんわり響く作品。

結婚を機に専業主婦となることを選択した女性。
仕事も子育ても完璧にこなそうとした女性。
自由な選択でパートナーを選び養っていた女性。
3人はそれぞれに葛藤を抱えて生き、その生き方に優劣はなく繋がれていく。

懸命に自分らしく生きてきた登紀子さんの思いが、こんな形で繋がっていったんだ!と分かった時が良かった。




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