黄色い家(川上 未映子)の次に読む本は、ケーキの切れない非行少年たち(宮口 幸治)

あらすじ

物語は現代のコロナ禍、主人公(花)が見たネットニュースの事件から始まる。
花の目に止まったのは、少女を監禁、暴行をしてある女(黄美子)が逮捕されたというネットニュース。ニュースをきっかけに、20年前の黄美子と過ごした忘れかけていたある記憶がよみがえる。
当時、まだ未成年の花は、スナックで働く母親と二人で貧しい暮らしをしていた。そんな暮らしから脱け出そうと働き始めたが、貯めていたお金を盗まれる。自暴自棄になっていた時に再会したのが以前に一緒に暮らしていた黄美子だった。

まだ未成年の花だったが、黄美子と再会してからふたりでスナックを始め、同じ境遇の2人の仲間とも出会った。
4人は共同生活を始めることとなったが、スナックが火事で焼失。責任感の強い花は働く術を探す事となるが、やがて闇の世界へと踏み込むと、さらに闇へと深い闇に落ちていく。

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誰でも忘れかけている『過去の記憶』がある。自然と忘れている記憶、自分自身で忘れるために封印をしている記憶。
この『黄色い家』は後者の記憶にあたる。
自分自身で、記憶に蓋をして忘れようとしている40代になった主人公の花。
金は人間を狂わして、闇へ闇へと深い部分に引きずり込む。

まだ若い主人公(花)が起こした事件は忘れたいけど、忘れたくない記憶だった。
若さゆえの過ちは、取り返しのつかないものになる。苦しみ、もがき、黄色にすがる。『過去の記憶』に取り憑かれた人間模様が描かれている。闇へと転落するスピード感に圧倒される。

次に読む本

ケーキの切れない非行少年たち 著者 宮口 幸治

発達障がい、知的障害を持った子どもたちをどうすれば救うことが出きるかを考え、医療少年院で働く事を決意した著者。
少年院で見た線をまっすぐに書けていない一枚の絵からあることに気付く。
それはここにいる少年院の子どもたちが、見たものの捉え方が通常と全く違うことだ。
その他にもこんな問題を抱えた子どもがたくさんいる事にも気付く。
・周りの人と聞き取りが出来ない
・判断が出来ないこと
・計画が立てられない
・見通しが立てられない
・想像力が弱い
・認知機能が弱い
だから欲しいものがあれば盗む。騙しとるという方法を選択する。
たくさんの子どもと接する中で、反省する以前の子供がたくさんいる事が解る。

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知的障害、発達障害で問題を抱えた子どもがたくさんいる。ただその事を知らずに接している大人が多い。
理解している、または理解しようとして接すると、こちらの見え方や接し方も変わる。
もしかしたら目の前の人は理解できないのかもしれない、自分とは違う景色で物が見えているのかもしれない。
相手の立場に立って接することの大切さが解る一冊

おススメポイント

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当たり前のように、犯罪が悪いことと認識できる力が無い人もいる。『黄色い家』はそんな人達ばかりが登場する印象だ。もし理解のある人が、彼女たちに関わり、寄り添っていれば全く違う結果になったのではないかと思える2冊。
私たちの周りにも同じように、線や形が正しく見ることが出来ない人がいるのではないか。今まで、自分の目で見たことが間違い無いという感覚でした。しかし、この2冊を読んだことをきっかけに、他の人の立場、目線、見え方に寄り添う必要がある。
そうすることによって救える人も多いのではないかと思う。




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