あらすじ
父親が起こしたスキャンダルのせいで、マスコミが一家に押し寄せ居場所を失くした本条家。 父の拳は何も告げずに失踪し、母の早苗と長男の力は休息を求めて全国を飛び回る。 芸能界の圧力に苦しみながらも転々としていく親子の旅は、どんな結末を迎えるのか。そして父が起こしたスキャンダルの真相とは? 辻村深月がおくる、新たな救いの物語。
親子の旅が休息のようで残酷な現実を突きつける感じがスリリング。
小学生の男の子を主人公にしたのは初めて読みましたが、とてもあるあるな描写が多く、年頃の男の子だからこその表情や心情が多く盛り込まれていました。他の作品も読んでみたくなりました。
次に読む本
かがみの孤城 辻村深月
クラスメイトからのいじめを受けて学校での居場所を失い家に閉じこもっていた安西こころ。
ある日いつものように自分の部屋にいると、大きな姿見が光り始めた。鏡を抜けた先にいたのは「オオカミさま」と名乗る人形のような少女と、立派な城だった。他にもこころ以外に6人の男女が集められる。「オオカミさま」は、「願いの鍵を見つければ、1人だけの願いをかなえてやる。ただし、願いが叶った時点でお前たちのここでの記憶は抹消される」と衝撃の事実を告げる。そして「オオカミさま」は、この7人をある共通項で選出していた。彼女たちを救うことはできるのか?
漫画化や文庫化もされたことで気になっていましたが、女子中学生の思春期を見事に描き切ったなというのが読了後の感想です。女子はこんなにも複雑な言葉を考える者なのかと、いい年をして驚きました。ハプニング続き、そして真実が明るみになった時、7人全員が前を向ける結末でした。素晴らしかったです。
小中学生の複雑な心情を丁寧に描きながら、最後には必ず圧倒的な安心感があるのがこの2冊です。
年齢も性別も異なるために起こる複雑な心の変化を現代の家庭事情と深く絡めて、描き切っているという印象です。
流石の描写力としか、言いようがありません。
コメントを残す