罪と罰

罪と罰(ドストエフスキー)の次に読む本

あらすじ

舞台は、1860年代夏のロシア・ペテルブルグ。元大学生の青年ラスコーリニコフは、金貸しの老婆とその妹を斧で打ち殺してしまう。
それは、貧乏人の汁を吸っている有害な老婆を殺すことは人類のために善になる、という犯罪理論を彼が持っていたからである。
だが、殺人のあと、捕まるのではないかという不安と恐怖におびえ、良心の呵責に苦しみ始めるが、母や妹、友人にも真実を打ち明けることができずに思い悩む。
そんなとき、娼婦のソーニャと出会い、その信心深い素直さに癒されて、彼女に犯罪の告白をする。
ラスコーリニコフの秘密を知ったスヴィドリガイロフとの会話、判事ポルフォーリィ―との犯罪論争など、犯罪者がどのように人間性を回復していくか、サスペンスタッチで深く堀りさげた作品。

マリオ

主題の思想性の深さ、人間心理の優れた洞察、まさにロシア文学の最高傑作のひとつである。

善と悪、歓喜と絶望、聖と俗、明と暗、相反する価値に引き裂かれて苦悩するのが人間なのだ、ということを本書によって教えられた。

文学の奥深さを知るための必読書だろう。

次に読む本

新釈罪と罰 スヴィドリガイロフの死(三田誠広)

ドストエフスキーの原作「罪と罰」をていねいに読み解き、新解釈をほどこした設定で新たに小説化した作品である。
原作の主人公はラスコーリニコフだが、この作品では地区警察署の事務官ザミョートフが主人公になっている。また、金貸し老婆殺人事件はすでに起こったものとして物語が始まる。
借金返済の督促で警察に呼び出されたラスコーリニコフは、金貸し老婆殺人事件の犯人についての話をたまたま耳にしたとき、突然気を失って倒れてしまう。それを見たザミョートフは、彼が真犯人ではないかと疑い始める。
ザミョートフがラスコーリニコフを追いかけていると、同じようにラスコーリニコフを見張っているスヴィドリガイロフと出会う。やがて二人は、ラスコーリニコフが娼婦ソーニャの部屋で告白するのをひそかに聞いて……。

マリオ

ドストエフスキーの原作を知らなくても、独立した作品として十分楽しめる作品である。

原作を読んでいればなおのこと、原作の魅力を再確認できる。

いや、むしろ、さまざまな要素が複雑に絡まっている原作よりも、ストーリーが密度濃く整理されていて、迫力があると言っていい。

マリオ

ドストエフスキーの原作には、犯罪や人間についての哲学的な議論や多くの謎が描かれているので、全体を理解することはなかなか難しい。

その点、三田誠広の作品は原作の主題のエッセンスを整理してあるのでわかりやすい。いわば、小説の形をとった「罪と罰」論になっている。

原作を読んでから三田を読むか、三田を読んでから原作を読むか、どちらもおすすめである。


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