あらすじ
教育現場で頻繁にみられる「子供に頑張ってほしい大人」と「頑張りたくても頑張れない子供」にフォーカスを当て、双方とその周りの環境の事例と筆者の考えが書かれています。
「頑張らなくてもいい」と言う大人、一方で「頑張らなくては生きられない社会」に直面している子供たち、といった「ジレンマ」「矛盾」にあふれた今の子育てや教育の現場を俯瞰的に考えることができる一冊です。
「頑張れ」という言葉を聞かずに育ってきた人はおそらくいないでしょう。
そしてその言葉から派生した「負の感情」を抱いてきた人も少なくないはずです。
「頑張ってるのに報われない」、「頑張ってるようには思えない」、「頑張らなくても大丈夫」など、どこか引っ掛かる言葉たちをすこし整理できるきっかけになると思います。
親と子、先生と生徒という関係だけでは説明できないこうした「頑張り問題」を日本社会や心理学、不安など様々な観点から考えていくことですこし肩の荷がおりた感じがしました。
重そうなタイトルですが、日々の生活につかれている方にこそ読んでほしい一冊です。
次に読む本
貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち 著者:藤田孝典
生活環境の悪化により、貧困を宿命づけられた我々若者世代の苦しみを様々な例を用いて説明している一冊です。
収入の減少、自殺率の拡大、パラサイトシングルなど聞きなじみのある問題から難しいものまで、「この悩みも社会問題から来ていたのか」と感じること間違いなしです。
親のアドバイスが理解できない、と思ったことはありませんか。
「大企業に就職したら一生安泰」、「若いうちの苦労は勝手でもしろ」、「大卒でフリーターなんてありえない」、「30にもなってまだ結婚していないのか」などの親世代からの文句が実はすべて社会の変化によるものであることに気づくことができます。
自分の苦労や悩みが実は社会のせいだった、ということが分かると心が少し楽になりました。
貧困世代としての宿命を背負ったうえで、どうやって生きていくのかということを考えるきっかけになる一冊だと思います。
『どうしても頑張れない人たち』を読んで自分の抱いている苦労の原因が自分と他人の他に、社会の存在があることに気付けるはずです。
実はその「社会の存在」というものがこれから先の時代を生きていく私たちにはなくてはならない価値観になっています。
自分たちではどうしようもできない社会の問題について『貧困世代』では様々な角度から学ぶことができます。
これら2冊を読むことで自分が抱えている問題の原因がどこにあるのか、その原因は解決できるものなのか、解決できないのであればどう付き合っていくか、といったことを自分の中で考えるきっかけになるはずです。
3冊目、4冊目につながっていく2冊だと思いますのでぜひ一度読んでみてください。
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