52ヘルツのクジラたち(町田そのこ)の次に読む本は

あらすじ

虐待された主人公、貴瑚は不幸とともに生きてきた。義父に虐げられながらもその介護をし、母親には無視される。そんな貴瑚はある1人の少年と出会う。その少年は、親から「ムシ」と呼ばれ、虐待を受けていた。
境遇の似た彼らが出会う時、物語が動き出す。彼らの未来に、祝福はあるのかーー。

八重桜
八重桜

非常に心温まる物語でした。基本的には貴瑚の過去と現在が交互に語られ、ストーリーが紡がれていきますが、その両方の物語に心を大きく揺さぶられました。非常に辛い境遇の中で生きてきた彼らですが、そんな彼らに「人間は全員が全員、悪い人な訳じゃないよ」と伝えてくれるような人たちがいたのが本当に良かったです。


読み終わった後に、タイトルの『52ヘルツのクジラたち』と言う文言を見ると、込み上げるものがあると思います。

しっとりとした物語で、心を安らげたい方に是非お勧めです。

次に読む本

滅びの前のシャングリラ 凪良ゆう

あと一ヶ月で、世界は滅びるーー。
小惑星が地球に衝突することが知らされ、滅亡を前に荒廃していく世界。そんな中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのか――。

八重桜
八重桜

最初にこの設定を聞いたとき、ワクワクが止まらなかったです。誰もが一度は考えるであろうif。それを実際に一つの作品として仕上げた物語。あと1ヶ月で地球が滅びるという一見突飛な設定でありながらも、登場人物の心の揺れ動きを理解、共感しやすいために物語にスッと入り込むことができました。また、家族や友人関係など、生きる上で逃れられない関係性がテーマになっているので、読了後も色々と考えさせられました。こんな荒廃していく世界の中でも、頼りになる人がいるというのはどれほど心強いことでしょうか。自分にもそんな人たちがいるのだろうか。

八重桜
八重桜

これらの作品はどちらも2021年本屋大賞の候補作品として、ノミネートされたものになります。実際に受賞したのは「52ヘルツのクジラたち」でしたが、「滅びの国のシャングリラ」も負けず劣らず、素晴らしい作品だと思っています。

また仔細は違えど、不条理な境遇に身を置くことになってしまった彼らが、人間の温かみを感じながら成長していく、というストーリーに通ずるものを感じたため、次に読む本としてレコメンドさせていただきました。

どちらも感情表現が巧みで、読み応えがありながらも、心にスッと入ってくるような作品でした。ぜひこの両作品を読んで、自分の中で感じたこと、思ったことを咀嚼してみてはいかがでしょうか?




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