あらすじ
両親と姉のまーちゃんと暮らす主人公・ちひろ。未熟児で生まれ、頻繁に体調を崩す幼いちひろの姿に、両親はすがるような気持ちで『金星のめぐみ』という何にでも効く水を頼るようになります。そして家族は「宗教」にのめり込んでいくのです。ちょっと周囲とは違う両親の姿と、友人や好きな人に囲まれて生きる日常の間で心が揺れ動く女子中学生の物語。
映画化で話題の原作ということもあって手に取りました。ちひろの周りで起きる一つ一つの出来事に「信じる」って何なのだろう・・・と頭の片隅に疑問が浮かび続けていました。
次に読む本
怒り/吉田修一
若い夫婦が殺害された現場には血文字の「怒」が残されていました。目撃情報から作成されたモンタージュ写真と共に公開された殺人犯「山神一也」。捜査は難航し、事件から1年以上の月日が経ってしまう。そんな中、港町で暮らす親子・東京で働くゲイの青年・沖縄の離島で暮らす少女、彼ら彼女らの前にそれぞれ身元不詳の男が現れます。やがて、目の前の男たちと殺人犯を重ね合わせていくのです。
『星の子』の「…ぼくは、ぼくの好きな人が信じるものを、一緒に信じたいです。」を目にしたとき、その言葉を反芻すると同時に、以前にも「信じる」を考えさせられたこの作品を読みたいと思いました。「信じる」の反対に位置すると思っていた「信じられない」「疑ってしまう」という行為が、本当は「信じる」という行為そのもなのかもしれない。人間の心情を肌で感じることのできる作品をぜひ味わってください。
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