銀河鉄道の夜(宮沢賢治)の次に読む本

あらすじ

漁で行方不明となった父親にかわり、働きながら学校に通う少年・ジョバンニ。夏祭りの夜、不思議な銀河鉄道に乗り合わせたジョバンニは、親友カンパネルラと共に、時空を超えた幻想的な夜空の旅を経験する。

ネリ
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言わずと知れた宮沢賢治の名作。ちなみにイタリアの哲学者、トマーゾ・カンパネルラの幼名が「ジョバンニ」だったことは、この「新編・銀河鉄道の夜」の注解で知りました…深い! 表題の「銀河鉄道の夜」はもちろん、賢治の魅力が詰まった14もの作品が詰まっていること、そして先に書いたような「名前の双子性」など、賢治ファンにはたまらないトリビアネタ満載の注解が、本書の大きな魅力でしょう。

熱心な法華経信者であり科学への造詣も深かった賢治が、その知識をベースに紡いだ詩的な世界…それは、読み手が年齢を重ね経験を積むごとに、新たな階層を現し、読むたびに新しい発見や出会いがあります。

「ほんとうのさいわいは一体なんだろう」 その「解」は今も見つけられないけれど、「問い」続けることで命が広がっていく…。 そんな人生を豊かにする「良質な問い」を呈示してくれるのが、「銀河鉄道の夜」を始めとする、宮沢賢治の作品たちではないでしょうか。

次に読む本

からだは星からできている(佐治晴夫)

著者は「ゆらぎ」研究で知られる理論物理学・宇宙物理学の第一人者である佐治晴夫先生。佐治先生は映画「コンタクト」の制作協力やダライ・ラマ法王との対話、さらに流麗にピアノも弾きこなす多才な物知り博士。そんな佐治先生が語る、137億年前の宇宙の始まりと、今ここを生きる私という命との「繋がり」のものがたり。

ちなみに表紙カバーの楽譜は、佐治先生曰く「数学的性質を含み、視覚的にも美しい幾何学的パターンが感じられる」バッハ作品の楽譜だそう。

ネリ
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「物理学」というと固まってしまう人も多いでしょう。 だけどこの本を読むと物理学の「数字でできた無機質な世界」という印象が大きく変わります。 専門である宇宙物理学をプラットフォームに、仏教やキリスト教といった宗教観から日本神話、ブラームスやシューベルトに「星の王子さま」、そして宮沢賢治などなど…言及される分野の多さに、まずは圧倒されます。 そして、その詩的で哲学的で音楽的な世界では、温度や色・音、そして希望にあふれ、読んでいて心が揺さぶられるのです。

「誰にとってもあたりまえの存在だと思っている『自分』とはいったい何者なのか(中略)この問題に真っ向から取り組むのが宇宙研究の目的だといっても、さほど、間違いではありません。」

ネリ
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ありとあらゆるツールを使って「自分」という存在についてアプローチを試みる佐治先生の頭の中はまるで無邪気な遊園地! そして、その言葉はとても優しく、愛情深く…仙人や賢人という存在は佐治先生みたいな人なのかもしれない…と思いを馳せたりするのです。

我々はどこから来たのか。我々は何者か。我々はどこへ行くのか。

哲学、思想、芸術、宗教…そして物理学は、各々別個のものや対立するものではなく、全て「自分を知り、表現するための『現れ』のひとつ」なのかもしれません。 佐治先生の言葉による遠い遠い時空を超えた旅を終えて「今」に戻ってきたとき、「ここで生きる」ということがとても愛おしく、奇跡のようなことだと感じさせてくれる一冊です。

ネリ
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世界の天文学・宇宙論が飛躍的な展開をみせていた時代、その知識を活かし「ほんとうのさいわい」という深淵な問いをテーマに描かれた宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。 それとは対照的に、宇宙物理学という分野から「人間とは、自分とは、生きるとは」という逆アプローチを試みた佐治晴夫先生の「からだは星からできている」。 この2冊は共鳴するように、根源的な問い…「自分という存在(わたくしといふ現象)」を掘り下げています。 ただ「文学作品」として楽しむだけではもったいない「銀河鉄道の夜」…。

「からだは星からできている」を読んだあとに「銀河鉄道の夜」を読むと、改めて賢治の世界の奥深さに驚かされ、「時代がようやく宮沢賢治に追いついてきた…!?」とさえ感じてしまいます。 「からだは星からできている」の中では「銀河鉄道の夜(初期稿)」のブルカニロ博士の言葉が引用されています。 「さあいゝか。だからおまへの実験はこのきれぎれの考のはじめから終りすべてにわたるやうでなければいけない。(中略)あゝごらん。あすこにプレシオスが見える。おまへは、あのプレシオスの鎖を解かなければならない。」

自分にとっての「プレシオスの鎖」とは?「ほんとうのさいわい」とは…? 「自分という存在」のゆらぎが大きい今の時代にこそ読んで欲しい「銀河鉄道の夜」と「からだは星からできている」。 心からオススメしたい2冊です!

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