楽園とは探偵の不在なり(斜線堂有紀)の次に読む本

あらすじ

突如として現れた「天使」たち。彼らは二人以上の殺人を犯したものを容赦なく地獄へと引き摺り込む。天使が群れ飛ぶ常世島へと招かれた探偵青岸焦は、そこで奇妙な連続殺人事件に巻き込まれる。「天使」が存在する世界で犯人はいかにして連続殺人をなしえたのか?

ぬぬに
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昨今流行りの特殊設定下での本格ミステリ作品です。二人以上を殺害すると、自動的に天使によって地獄に送られてしまう世界。理屈上、三人以上を殺害するのは不可能のように思えます。この条件をいかにクリアして犯人は犯行を成立させたのか。ミステリアスな設定にワクワクさせられます。 無慈悲で不条理な存在として登場する「天使」と運命に翻弄される人間たち。残酷な世界の中で人はどう生きるべきなのか。

ミステリ的な仕掛けもさることながら、主人公のキャラクター設定と心理描写がとても魅力的で、最後の最後まで楽しめる作品となっています。

次に読む本

「地獄とは神の不在なり」~『あなたの人生の物語』収録(テッド・チャン)

日常的に天使が出現し、福音と災厄をまき散らす世界。天使によって大切なものを奪われた男は、いつしか自分も天国に送られたいと願い、天使の出現を心待ちするようになる。信仰とは何なのか?天国と地獄は存在するのか?そして天使が人間にもたらすものとは何なのか?

ぬぬに
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アメリカのエスエフ作家、テッド・チャンの短編集『あなたの人生の物語』に収録されている作品です。 ナタ二エル、バルディエル、ラジエル、マカティエル。出現する天使たちの描写が禍々しくも美しく、強烈なインパクトを残してくれる一作です。「エヴァンゲリオン」の使徒たちのようなイメージもありますね。 超自然的で不条理な存在を前にして、人間はどうあるべきなのか。キリスト教的な文化のバックボーンが無いと、いささか理解し難い話かもしれませんが、何度も読んで内容を噛みしめたくなる一作です。

ぬぬに
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タイトルから想像がつくかもしれませんが、斜線堂有紀の『楽園とは探偵の不在なり』は、テッド・チャンの『地獄とは神の不在なり』の影響を受けた作品です(巻末に作者本人も参考文献として記載しています)。突如現れた不可思議な力を持つ天使たちに、人間が翻弄される点も共通しています。 意のままにならない超自然的存在は、人間の人生にも置き換えることが出来ます。試練が訪れた時に人はどう立ち向かうべきなのか。それぞれの作品の解釈を読み比べてみると面白いかと思います。

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この記事を書いた人

ぬぬに

書評ブログやってます。現在500冊くらい感想書きました。 オッサンの活字中毒者です。情報・通信業の非技術系社員(企画職)。Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)取得。喘息&痛風持ち。守備範囲は小説(ミステリ、エスエフ、歴史小説)、マンガ、ノンフィクション、ライトノベル、新書、ビジネス書も少々。

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