あらすじ
外資系金融会社で順風満帆な社会人人生を送っていた溝端了衛。人生設計の青写真を描き始めた頃、リーマン・ショックにより全てが崩れ落ちてしまう。 高いプライドと残り少ない預金を持って帰郷した了衛は、地域に溶け込むべく様々なアイデアを思いついては実行する。しかし田舎の悪しき習癖はそれを拒否し、徐々に了衛は追い詰められていく…
中山七里さんの本領が発揮された一冊。 目の付け所は悪くないのに、主人公の脇の甘さ間の悪さが最悪の事態へと繋がっていく。転落していく様が残酷で、想像を遥かに超えるスプラッタぶりには爽快感さえ覚えます。ミステリ要素もしっかり組み込まれ、お腹いっぱいなのにまた味わいたくなる中毒性あり!
次に読む本
『メリーゴーランド』荻原浩
ゆるゆるお役所仕事で平穏無事に過ごすはずが、超赤字テーマパークを立て直すことに!やる気のない上司に受身な同僚。税金の無駄遣い体質と保守的姿勢が、地域おこしの壁となります。そんな中でも徐々に主人公啓一は、テーマパークの再建に心から乗り出していき… 仕事とは、家族とは、人生の大事なものを見つめるきっかけになるはず。
頑張ったら頑張っただけ結果が出るのがスッキリして気持ち良いのは確かだけど、現実の仕事はそんな綺麗にはいかない。お仕事小説に対して”綺麗事ばっかじゃないよ!”と思ってしまうひねくれ者の私は、読後妙に頷いてしまいました。そういう人は少なくないのでは? リアリティだけでもつまらないし、エンタメ的フィクションでは物足りない、そんな人には是非読んでもらいたい一冊。
テイストは真逆ですが、どちらも主人公が仕事と古い慣習への変革に向かい合った作品です。それぞれの主人公がたどる道の落差がえげつない!! 『ワルツを踊ろう』の後にささくれた気持ちを、『メリーゴーランド』で撫で付けて下さい笑
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