あらすじ
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」という女性教師からの衝撃の告白で始まる物語です。著者が得意とする、語り手を変え、様々な視点から事件の全体像を浮かび上がらせていく、描写力はお見事で、この物語でも存分に発揮されています。
なぜ、女性教師の娘は自分のクラスの生徒に殺されたのか、真相まで一気読みしてしまう衝撃の展開です。 また、教師への取材を行っているのでしょうが、”現在の教師はこんなに苦労しながら働いているんだ”と、生々しい現場の状況も知ることができる物語になっています。
次に読む本
イノセント・デイズ(早見 和真)
放火によって、元恋人の妻とまだ1歳の双子の命を奪ったとされる、田中幸乃に死刑判決が告げられるところからこの物語は始まります。 家庭の事情もあり、幼いころから辛い経験をしてきた田中幸乃。そんな彼女に関わった人物が田中幸乃の過去を回想する形で物語は進んでいき、裁判で述べられた彼女の過去が現実とは全く違うことが読者に明らかになっていきます。
同情を禁じ得ない彼女の生い立ちですが、裁判ではその生い立ちが明るみになることなく死刑判決を告げられます。ひとりの男だけが、田中幸乃の味方であり続け、彼女のことを信じ、無罪を勝ち取るため、田中幸乃の過去を明らかにする為に行動を続ける衝撃の物語です。
どちらの本に共通することは”先入観を紛砕する圧倒的長編”になっております。 最初に事件の概要を聞いた時のイメージが、物語の登場人物たちによる、複数の視点で話を聞くうちに先入観が粉砕されていきます。
どちらの作品も映像化された話題作ですが、”告白”に比べ”イノセント・デイズ”は知名度が低くなっています。”告白”を読んだ時の、読みだしたら止まらない衝撃をもう一度味わえる”イノセント・デイズ”も是非読んでみてください。
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