神の子どもたちはみな踊る(村上春樹)の次に読む本

あらすじ

『神の子どもたちはみな踊る』は、阪神淡路大震災のあった1995年を舞台とした短編集です。その中でも、多くの人に愛される『かえるくん、東京を救う』を紹介します。

平凡な信用金庫の職員である片桐がアパートの部屋に戻ると巨大な蛙が待っていた。巨大な蛙は、「ぼくのことはかえるくんと呼んでください」と言う。かえるくんは、東京の地下深くに眠る「みみずくん」が、三日後に東京を壊滅させる地震を引き起こすこと、自分はみみずくんと闘い東京を救うつもりで、そのためには片桐の協力が必要なのだということを片桐に伝える。最初は信じられない片桐だったが、物腰が柔らかく博識なかえるくんに好意を抱き、共にみみずくんと戦う決意をする。

しかし約束の日の前日、片桐は何者かに襲われる。

目を覚ましたとき、片桐は病院のベッドに横たわっていた。その日の夜中、かえるくんが片桐の病室に現れる。かえるくんは、片桐は夢の中にいながらもかえるくんと共に闘い、二人はみみずくんから東京を救ったのだと言う。しかし、かえるくんも無事ではなく…。

次に読む本

白夜(ドストエフスキー)

病院に現れたかえるくんは、「闇の中でみみずくんと闘いながらドストエフスキーの『白夜』のことをふと思いだしました」と片桐に言います。

『白夜』は、ドストエフスキー作品の中でも珍しい純粋な恋愛小説です。ロシアのペテルブルクに住む貧しいインテリ青年は、一人の少女と出合います。青年は、極端に人見知りで、現実よりも空想の世界を愛する夢想家です。彼は、この地に来て8年間、誰とも知り合いになったことがありません。本来であれば、女性を口をきくことができない青年ですが、神秘的な白夜の日に勇気を出して…。淡い恋心の芽生え、喜び、痛みを繊細に描いた作品です。

『かえるくん、東京を救う』で、かえるくんは文学を愛するキャラクターとして描かれており、作中では、『白夜』の他に、トルストイの『アンナ・カレーリナ』にも言及します。ロシア文学がかえるくんの好みのようです。

片桐は『アンナ・カレーリナ』と『白夜』を買って読んでみようと決意します。そして、かえるくんと心ゆくまで語り合いたいと考えます。

『アンナ・カレーリナ』も名作ですが、今回は『白夜』を紹介しました。長編である『アンナ・カレーリナ』と比べ、『白夜』は、100頁程度の短編であるため非常に読みやすい小説だからです。また『白夜』は、みみずくんとの闘いを終えたかえるくんが、片桐に伝えたいことの象徴として挙げられた作品のように思われます。

かえるくんは、多くの読者に愛される存在です。『白夜』のどのような点がかえるくんに響いたのか、かえるくんが『白夜』にどのようなメッセージを込めたのかを考えてみるのも楽しいと思います。

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