今日は2018年本屋大賞になった『かがみの孤城(辻村深月)』を紹介します。
中学1年生の安西こころは、イジメが原因で不登校になる。ある日、自宅の鏡が光り、こころはかがみの中へ。かがみの中には、オオカミさまと、こころの他に6人の中学生(スバル、アキ、リオン、マサムネ、フウカ、ウレシノ)。
なお、オオカミさまの城(かがみの中の世界)は、来年の3月30日まで。ずっと居られるわけではない。
オオカミさまの城が閉じる日
集められた7人は、みんな不登校らしいが、表立って口にはしない。こころにとっては居心地が良く、かがみの中の世界へよく行くようになる。ゲームをしたり、おしゃべりをしたり、と過ごしやすい。毎日行くこともできるし、休んだりしてもOK。
事情があって不登校になってしまった子どもには、「オオカミさまの城」のような世界があると良いですね。
緩くつながれるのが良いですね。
お互い話すうちに、みんな中学生で、住んでいる町も近いことがわかった。同じ中学校に通っていることもわかった。(リオンはハワイに住んでいるが、もし日本にいたら同じ中学校だった)
そこで、3学期の始めに、皆で学校に行くことを約束する。こころも、学校へ行く。しかし、皆と会うことはできなかった。
実は、かがみの外の世界では、皆の時間がズレていた。スバルは1985年、アキは1992年、こころとリオンは2006年、マサムネは2013年、フウカは2020年、ウレシノは2027年。
では、他のメンバーとは会えないのか?いや。年代は違うが、同じ世界に生きているので、出会うことも可能だった。実際、こころはアキに会っていたのだ。
アキは、1992年に中学生だったが、大人になってフリースクールのカウンセラーになっていたのだ。こころ、マサムネ、ウレシノを暖かく見守ってくれる喜多嶋先生は、大人になったアキだった。
紅茶の好きな喜多嶋先生。
『中学生のこころに寄り添ってくれた喜多嶋先生=アキ』ということが分かったときには、胸にこみあげてくるものがありました。
漫画化
原作をもとに、漫画にもなっています。
自分が中学生だったころ、学校の先生に反発した経験があります。そんな時に、オオカミさまの城や、喜多嶋先生のような人に出会えていたら、すごく良かっただろうな、と思います。
物語前半のいじめシーンは辛い描写もあります。しかし、ここがあるからこそ、結末の感動がいっそう大きくなりました。
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