ある整数を割り切る数を約数とよびます。例えば10なら、約数は1,2,5,10です。
ある整数の約数の合計が、もとの整数のちょうど2倍になる数があります。例えば、6は、約数が1,2,3,6で、合計は12となります。このような数を完全数と呼びます。(約数のうち、自分自身を除いた合計が、自分自身に等しくなる、とも定義できます。6の場合は、1,2,3の合計が6になる。)
完全数は、6、28、496、8128、33550336、と続きます。(無限にあるかどうか?は確定していないようです。)
6と28が完全数
「博士の愛した数式」を紹介します。第一回本屋大賞受賞作で、映画にもなりました。。
博士は、数学者だった。しかし交通事故にあい、記憶が80分しか持たなくなってしまった。今では義姉の家の離れに一人、暮らしている。
博士の家に、新しく家政婦としてやってきたのが、主人公の「私」。私はシングルマザーで、10歳になる息子がいる。
博士は、家政婦にあれこれと要求することはなかったが、自分の数学の探求を邪魔されるのは嫌った。私は、最初は勝手が違ってとまどっていたものの、少しずつ博士に慣れていく。そして、博士に整数の初歩を教えてもらうことになる。
友愛数(ある数Aの約数を合計すると、別の数Bになり、数Bの約数を合計するとAになる、という関係)の話から、物語が展開していきます。
「友愛」は、本全体のテーマとも合っていて、良いですね。
息子「ルート」
博士と私が話していて、あるとき、私の息子の話になった。私が「自分がここに来て働いている間、息子は一人ぼっちだ」というと、博士は「息子さんも連れてきなさい」と。
私が息子を連れていくと、博士は息子の頭の形から、「ルート」と呼ぶようになる。
息子さんに数学用語のルート(平方根)というニックネームを付けるのが、博士らしいですね。
ルートが博士の所に来るようになって、物語が一気に動き出しますね。
野球を見に行く
博士の記憶は交通事故の時で止まっている。江夏豊は阪神の投手だった。(実際の江夏は、広島に移籍→引退)江夏の背番号は28。完全数。
私は、博士とルートと3人で、野球を見に行くことにした。江夏は引退しているので見られないが、私とルートは、江夏は巨人戦に登板したから今日は出ないだろう、と博士に伝える。
博士もルートも楽しむことができた。
博士とルートが交流したこともあり、単なる家政婦、ではなくて、本当の家族みたいになりましたね。
一癖も二癖もある博士が、不器用だけど父親っぽく振舞おうとする一面がユーモラスに感じました。
1+2+3+4+5+6+7+8+9+10のような算数から、フェルマーの最終定理まで、数学(整数)の話題が随所に出てきます。
しかし、それだけではありません。
博士とルートとの交流、心温まるシーンがあります。数学に興味のある人はもちろん、数学に苦手意識のある人でも読みやすいです。本屋大賞に選ばれるのも納得です。
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