2月25日に読む本は、人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」: 第三次AIブームの到達点と限界(新井紀子、東中竜一郎)

2月25日は

東大など多くの国公立大学で個別学力試験が実施される日(理科三類は27日まで。他は26日まで。)

ロボットに大学入試問題を解かせて、東京大学の合格点を取ることに挑戦するプロジェクトがあります。

人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」では、2016年までのセンター試験(現在の共通テストに相当する試験) の模試、東大個別試験の模試の成績が掲載されています。

2016年のセンター試験の模試では、国語は受験生平均を下回り偏差値49.7ですが、英語リーディング、 数学IA、数学IIB、世界史B、日本史B、政治・経済、物理で受験生平均より良い成績でした。

世界史は好成績(センター模試偏差値66.3)でした。知識を問う設問での正解率が高かったからと思われます。

大量の知識を正確に記憶できるのは、AIの強いところだね。

数学では、 二次方程式の設問に、すごく複雑な式変形を繰り返して、満点を取った、というものがありました。(二次方程式を自動計算するウェブサービスはこちら)

計算力でごり押しでの回答だったので、人間とはだいぶアプローチが異なりますね。

国語(現代文)においては、『どのような知識や能力を身につければ点数があがるのかが、それほどはっきりしない』(67ページ)と評されている。たとえば知識でいえば、世界史では教科書の記述、と比べると、国語の場合は明確ではない。

『現在の技術では、長い文章を「理解」すること、その内容を把握することは、ほとんどできない』 (67ページ) とも記載されている。その割には、平均的な高校生と同等の成績であった。

文章を読む、とは。生徒は読んで理解しているのか。

ロボットが文章理解が苦手であるにも関わらず、国語で平均的な高校生と同等の成績であることから、「生徒はきちんと読めているのだろうか?」という疑問が生じ、それを確かめる計画ができた。リーディングスキルテスト(RST)と呼ぶ。RSTでは、たとえば、以下のような問題を出す。

以下の文を読みなさい。
仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから一つ選びなさい。
オセアニアに広がっているのは、(      )である。
A. ヒンドゥー教 B. キリスト教 C. イスラム教 D. 仏教

258ページ。問題文の大元は、中学校社会教科書『新しい社会 地理』東京書籍 p.36

高校生の約1/4が間違える、という結果になった。

きちんと読めば回答できるはずの問題で、間違える高校生が1/4いたんだね。

AIの得意・不得意

AIは(少なくとも現時点では)得意・不得意がはっきりしているようです。AIが得意な部分を上手くいかせるように、人間とAIが共存、協力していけると良いと思います。

教科書が読めない

AIに大学入試問題を解かせることで、文章を理解する、ということについて、新たな知見が得られました。

今までは、当然のように、高校生は教科書を読める(理解できる)と思い込んでいましたが、必ずしもそうとは言えないようです。




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