4月4日に読む本は1984(ジョージ・オーウェル)

世界はユーラシア国、オセアニア国、イースタシア国の三国が統治している。オセアニア国は、ビッグ・ブラザーによる監視社会。

街のあちこちに、テレスクリーンが置かれている。ビッグ・ブラザーから情報を発信するのに使用され、敵を批判するように煽るメッセージが流れ、民衆が扇動される。さらには、テレスクリーンは住人の行動監視に用いられているらしい。

ウィンストン・スミスは、オセアニア国の役人として働きつつも、日記をつけることにする。

1984年4月4日は ウィンストン・スミスが日記をつけ始めた日

党中枢による支配

オセアニアでは、真実省が歴史(過去)を記録し、訂正する。「訂正」とは、党中枢に都合よく改ざんすることを意味する。新聞、書籍、写真、そのほか記録に残るものは、党中枢の意のままに変更できる。そんな社会で、自筆の日記を書くことは反逆行為に等しい。しかしウィンストンは踏み出してしまう。

支配者が巨大な権力を持つ社会で、ウィンストンのような行為をしたらどうなってしまうのだろう?

ウィンストンは、ジュリアと知り合い、恋に落ちる。オセアニアでは恋愛は推奨されておらず、こっそり会う。

ウィンストンはオブライエンから、例の本(反体制派の書いた本)をこっそりと受け取る。ウィンストンはジュリアと密会している部屋で例の本を読む。しかし、党中枢にばれてしまい、捕らえられる。

オブライエンは党中枢の一員だろうと思われます。ウィンストンにあえて例の本を渡すことで、ウィンストンを逮捕・矯正しようとしたのだと思われます。

オブライエンがビッグ・ブラザーであるとは書かれていません。ただ、オブライエン=ビッグ・ブラザーという解釈を否定する記述もないので、この判断は読者次第かもしれません。

逮捕されたウィンストン

拷問されたウィンストン。たとえ拷問されても、ジュリアへの愛だけは揺るがない、と決意していたウィンストンだったが、一〇一号室に送られ、そこでの拷問に屈してしまう。

一〇一号室での拷問は、凄くキツイですね。電流の拷問もキツイ印象でしたが、それを上回りますね。

自分が嫌いなもの(ウィンストンの場合はネズミ)を使う、という、精神的にキツイことで追い詰める、というのが恐ろしくて、印象強く心に残りました。

国が強大な権力をもった社会の危険性、というメッセージ性の強い作品です。実際、出版された当時は全体主義的な思考(ヒトラー、スターリン等)の影響・恐怖が強かった時代です。

当時と今では状況が異なるから読まなくてよいか、というと、決してそうではありません。

SNSでのエコーチェンバー現象、捏造画像・動画、など、むしろ現代のほうが、この作品から学ぶことが多いかもしれません。




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