楽園の楽園(伊坂幸太郎)の次に読む本は

あらすじ

大規模停電、感染症の蔓延、大地震…
世界の終わりとも思える数々の事態を引き起こしていたのは、AIだった!?
AI『天軸』の開発者であるは、『天軸』の暴走を止めた後、消息を絶った。
世界の救世主ともいえるを探すべく、
選ばれし3名、五十九彦(ごじゅくひこ)、三瑚嬢(さんごじょう)、蝶八隗(ちょうはっかい)が旅に出る。

旅をする3人の軽快な会話が多く、とても読みやすいです。
100ページちょっとという、ページ数だけ見るとボリューム少なめのお話ですが、
語られていることはとても深く、読み応えや満足感はページ数以上!

「ヒトによる環境破壊問題を何とかしなければ」
「自然との共存を目指そう」
そんなヒトからのアプローチを、世界はどう受け止めるのか。
タイトルの「楽園」の意味が、
読み終わったころには、想像していた世界とはまったく別世界に映って見える、そんな衝撃作でした。

次に読む本

生殖記(朝井リョウ)

家電メーカー総務部勤務の尚成(しょうせい)は、過去の辛い経験を経て、無気力に毎日を過ごす。
彼の生き様を語るのは、ヒトに宿る、とある存在。
語り手の一人語りでつづられる、ヒトと社会の関係性。

まず、語り手の正体に衝撃を受けました。
次に、この語り手だからこそ、フラットに受け入れられる内容だなと思いました。
ヒトの生態や、社会との関わり方、現代日本に蔓延する生き苦しさの正体が、
突き刺すように語られるけれど、読み手もそれを自然と受け入れられるのは、
この語り手だからこそ。
そして、突き刺して終わり、ではないところが、本書の優しさ。
最後の文章は、ヒトとして精一杯生きてきた尚成の姿に、感動しました。

おススメポイント

2冊に共通しているのは、ヒトのちっぽけさを描いているところです。
『楽園の楽園』では、ヒトがつくってきた世界に対して、
自然界がどう反応するか、ということが描かれています。

そして『生殖記』では、ヒトという生き物が、いかに特殊でおかしい生態を持っているのか、
社会学や生物学を絡めながら語られていきます。

どちらも自虐的に「ヒト」という生き物のおかしさをさらけ出していきますが、
読み終えてみると、なぜか気持ちが楽になる不思議。
それはたぶん、世界(自然界)という大きなスケールから見る「ヒトの世界」って、
とってもちっぽけで、悩みすぎて苦しくなるほどの価値があるものなのかなぁと思えてくるから。
それならば、いっそ自分らしく、自分の好きなように生きていってもいいんじゃないか。
そんなふうに吹っ切って、清々しくなれる。
2冊とも、生き苦しさを感じている人におすすめしたい本です。




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