FRBの仕組みと経済への影響がわかる本(工藤 浩義 著)の次に読む本は

あらすじ

米国中央銀行制度の最高意思決定機関であるFRB(連邦準備制度理事会)につき、その組織構造と役割、その会合であるFOMC(連邦公開市場委員会)経済見通しやFOMC直後のFRB議長記者会見の読み方などを通して、FRBの金融政策がどのように世界の株価・為替・市場金利などに影響を与えているのかを俯瞰できるのが本書だ。
FRBの役割として雇用の最大化と物価の安定がある。この目標に向けてFOMC経済見通し(SEP)に掲載される失業率やPCEインフレ率などの予測値を把握し、米労働統計局から公表される米雇用統計や、米商務省から公表されるPCEやCPIといった消費者物価指数を把握していくことは、米国のみならず世界経済全体のメカニズムを理解するのに役立つはずだ。それらは個人投資家にとって極めて有益な視座を与えてくれるものである。

そら丸
そら丸

来年からの新NISA制度開始に向け、日本でも貯蓄から投資へという動きが活性化していきています。しかし株式投資以前に、本書で解説されているような主要国中央銀行の政策、失業率や物価指数などの経済指標意味と推移、指標同士の関係性をよく理解しておく必要があります。こうした金融知識がないまま目先の株価や様々な金融商品の情報に踊らされて投資をしても、長期的にリターンを得ることは難しくなりますね。

次に読む本

金利を見れば投資はうまくいく(堀井正孝 著)

かつて炭鉱労働者は、炭鉱内のガス発生を察知するために周囲の異変危険を感じると鳴き止むカナリアを鳥かごに入れて持っていき、警報として活用したという。
金融市場と投資活動においてこの「炭鉱のカナリア」の役目を果たしてくれるのが金利だ。この金利には大きく政策金利、長期金利、短期金利の3種類が存在する。短期金利が金融政策によって変動するのに対して、長期金利は主に景気や資金需要に影響を受けて敏感に変動する。通常、この長短金利の動きには1年程度のタイムラグが生じることで長短金利差が生まれ、ここから景気の動向をかなりの確率で予測することができるのだ。
金利とともに経済の動きを把握する上で重要となるのが、世界の基軸通貨である米ドルの世界での流れだ。米国の貿易赤字相手国として中国やメキシコなどの新興国が大きな割合を占めるため、米国の貿易赤字拡大は時間をかけて米ドル安となることで新興国の経済を活性化させていくのだ。実際歴史を見ると、米ドル高は新興国の株価を下げ、逆に米ドル安は新興国の株価を上げていることがわかる。
このように、金利を中心に世界経済の動きを捉えていくことが投資活動に基本となるのだ。

そら丸
そら丸

2023年末における米国株を中心とする投資環境は、まさに米国長期金利(10年国債利回り)の大きなトレンド転換期に当たります。2020年春から長らく上昇を続けてきた米国10年金利が5%台から下落し始め、市場関係者は今後の米国景気後退を気にし始めています。一方で長期金利低下に伴い、短期的にはハイテク企業で構成されるナスダック100指数は急上昇を見せています。
今後米国経済の失速とドル安が進んでいった場合、今度は新興国の好景気サイクルへと移り変わっていくことが本書を通じてわかりますね。

おススメポイント

そら丸
そら丸

お金や投資に関連する本は数え切れないほど存在する中、株価チャートパターンや各種テクニカル指標の見方など表面的なテクニックを中心的に扱った本に目を奪われがちです。しかし、日本市場で投資する場合においてもお金は世界全体で回っているため、世界主要取引所の時価総額で最大を占める米国市場の金利と基軸通貨でもある米ドルの動きや世界経済への影響を把握することは不可欠といえます。
今回ご紹介した2冊は、世界経済に大きな影響を及ぼす米国中央銀行制度の中核機関(FRB)の政策と金利という最も根っこにあたる部分を丁寧に解説した良書です。投資家のみならず、すべてのビジネスマンにおすすめです。




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