どうしても頑張れない人たちーケーキを切れない非行少年たち2(宮口幸治)の次に読む本

あらすじ

「頑張る人を応援します」というキャッチコピーに代表されるように、頑張れる人目線の言葉に著者は疑問を投げかけています。
現実には認知機能の弱さや家庭環境などにより、「頑張れない」人が一定数存在するのです。こうした方々の事情を理解することなく、一方的な言葉がけでなどで逆にやる気を奪っている事例が本書では多数紹介されています。
安心の土台、併走者、チャレンジできる環境を提供することが支援者の役割であり、その具体的内容を本書を通じて学ぶことができます。

そら丸
そら丸

うつ病や発達障害などの問題をかかえた子供以外にも、会社内で上司や同僚との関係で苦しんでいる人が多数存在します。学校と職場、年代など一概に同一視できない側面も存在しますが、人間関係において互いに認識を合わせて相互理解をはかることは極めて重要だと思います。本書を通して頑張れない人の気持ちや境遇を理解することは、親としてもチームをマネジメントする上でも大いに気づきを与えてくれるでしょう。

次に読む本

医師のつくった「頭のよさ」テスト~認知特性から見た6つのパターン~(本田真美)

数式を操るのは苦手だけど、カラオケで歌わせるとピカイチな人。車の運転で道に迷うことがなく、一度行ったことのある場所もよく覚えている人。人にはこうした多様な特徴があることは誰しも日常生活の中で感じ取っているかと思います。

著者によれば、こうした人の特徴には視野優位者2タイプ、言語優位者2タイプ、聴覚優位者2タイプという6つのタイプの「認知特性」が存在するといいます。

本書内に掲載されている3択式の認知特性テスト35問では、自分がどのタイプなのかを把握することができます。
このような人の認知特性を知ることは、自分自身の才能だけでなく、他の人のすばらしさに気づき、対人関係を円滑にしていくことにつながります。自分を知り、認め、選択し、適応させる。これができる人こそが頭のいい人なのです。

そら丸
そら丸

昨今多様性がキーワードとなり、ジェンダーやLGBTなどが論点となるケースが増えていますが、認知特性の観点はまだ希薄な印象です。

本書を読めば、写真のように二次元で思考する視覚優位者の方に言語優位者タイプとしての自分の論理でレポートを課すことは、お互いにとって生産的にならないことがわかります。

まだまだ縦の論理による画一性の高い日本社会の中で、こうした人の認知特性を深く理解することは良好な人間関係を築き、企業の生産性を高めていく上でとても有用といえます。

そら丸
そら丸

自分の強みや弱みを理解し、やりたいことを明確にして社会に貢献する。その結果収入が増え、社会的ステータスを得て、幸せ度も増していくと考えられますが、この過程で気をつけたい落とし穴の一つとして、他者、特に弱者への理解と接し方があげられます。

人間はどうしても自分と同じ思考や枠組みで他者を捉えてしまいがちになるためです。

実際一定の成功をおさめた後、自分とある意味大きく立場の異なる弱者への配慮が足らず、築いた地位を失う方が多く存在します。

今回取り上げた2冊は障害や家庭環境、認知特性という観点で他者への理解を深めることができる良書といえます。




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