いるいないみらい(窪美澄)の次に読む本

あらすじ

こどもがいる未来、いない未来について考えさせられる5つの短編集。こどもが欲しくても出来ない人もいれば、不妊治療に違和感を感じる人もいる。こどもが嫌いな人もいるし、養子を考える人もいる。色んな立ち位置にいる人の未来に、そっと寄り添ってくれる話。

だまだまこ
だまだまこ

結婚したら子供を産むということが当たり前ではなくなってきている今、結婚や出産に対する価値観は多様になってきています。でも、みなそれぞれとわかってはいてもやっぱり、周りから何気なく掛けられる言葉にもプレッシャーを感じたり、今のままでいいんだろうかと不安に思ったりすることはたくさんあります。この小説は、色んな辛さが本当にリアルで心がひりひりします。いつか自分も経験するかもしれないことや、今も身近な誰かが経験しているであろう感情を知ることが出来て、色々と考えさせられました。つらくて泣きたくなるけれど、その分温かさが沁みます。

次に読む本

岸辺の旅(湯本香樹実)

3年前に失踪した夫が、蟹に食べられて死んでしまったんだと言って突然帰ってくる。自分の死を語る、亡くなったはずの夫と妻瑞希は、二人で夫の辿ってきた道を歩んでいく。別れに近付いていることがわかっていながら進む旅路。夫婦の哀しさと愛しさの詰まった幻想的な物語。

だまだまこ
だまだまこ

「一度死んだことも、いつか死ぬことも。何もかも忘れて、今日を今日一日のためだけに使い切る。そういう毎日を続けてゆくのだ、ふたりで。」という言葉がとても印象的です。生と死の境目をゆるりと越えてしまうほどの夫婦の繋がり。ふたりの何気ない旅の対話も、別れが近づいていると思うと、切なく愛しく思えます。恋愛とはまた違う、静かで穏やかな夫婦の愛し方。どこまでも静かなのに、そこには言葉にならない愛や相手を想うがゆえの寂しさがたくさんあることに気付かされます。いつか離れてしまうその日まで、夫婦で過ごす日々を大切にしたくなる話です。

だまだまこ
だまだまこ

夫婦とは不思議なものです。別々に生きてきたふたりが、生活を共にするということで、自分ひとりでは経験し得なかったたくさんの出来事や感情に出会います。「いるいないみらい」のように二人でぶつかって話し合いながら新たな壁を乗り越えていって、いつか「岸辺の旅」のような静かに想いあえる夫婦になれたら素敵なんじゃないかなと思います。雰囲気はがらりと変わりますが、どちらも夫婦として生きていく姿が描かれた小説ですので、続けて読んでみてはいかがでしょうか。




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