「スキルベース組織の教科書」EY Japan ピープル・コンサルティング 著の次に読む本は

あらすじ

人手不足と余剰が併存し、業務高度化やAI活用が進む中、企業はジョブ単位ではなくタスクとスキルの粒度で人材を捉える「スキルベース組織」への転換を迫られている。1990年代以降、専門性重視の流れが進み、近年はスキル可視化と需給管理が現実的手法となった。実現にはスキル可視化の目的明確化、継続的運用、採用・配置・育成・処遇への統合が不可欠である。一方で制度運用の高度化や文化醸成、エンゲージメント維持が課題となる。大規模・グローバル展開では全体構想と段階的導入が重要であり、今後はAI活用による精度向上、ソフトスキル拡張、不確実性に耐えるレジリエンス強化が鍵となる。
本書の最後の2章ではSMBC日興証券やKDDIなど、先進日本企業のスキルベース組織への取り組み事例紹介とともに、SAPジャパンやSkillnoteといったスキルテック企業のソリューション内容と日本での展開にあたっての課題認識が述べられている。

そら丸

2000年代初頭は学習管理システム(LMS)の導入が進み、eラーニングや集合研修管理のデジタル化が中心でした。2010年代になるとHRテックの概念が本格化し、タレントマネジメントシステム(TMS)が大企業を中心に普及しました。TMSは人材データ(評価・職歴・研修履歴など)を統合し、配置・育成・後継者計画の戦略化を支える基盤として、HRBrainなどが導入され、「誰をどう育てるか」という人材戦略への転換を後押ししました。
2019年以降はHRテック市場全体が拡大し、AI活用やデータ連携を背景に、社内人材にとどまらない人材活用の発想が広がりました。この流れの中で、アルムナイ専門システムが登場し、退職者を人的資本の延長線上で捉え直し、再雇用・業務委託・ビジネス連携などにつなげる動きが進み始めました。アルムナイは社外人材でありながら企業理解やスキル履歴を有する点で、戦略的人材プールとしての価値をもちます。
2020年代中盤以降は、スキル不足の深刻化を背景にスキルテック(タスク・スキルの可視化、需給最適化)が注目されています。Skillnoteなどに代表されるスキルテックは、従来の個人起点のタレントマネジメントを補完し、スキル起点で社内外人材をマッチングする仕組みとして位置付けられます。
一方で、スキル定義の統一、運用負荷、評価・処遇との接続といった課題は依然として大きく、目的設計と現場巻き込みが不可欠です。今後は、LMS・TMS・スキルテックに加え、アルムナイ専門システムを含めた社内外人材の統合活用が進み、LXPやインターナル・タレント・マーケットプレイスと連携する潮流が強まっていくのではないでしょうか。

次に読む本

「離職防止の教科書」藤田耕司著

生産年齢人口の減少と人手不足の中、離職防止には数字だけでなく部下の心を動かすマネジメントが重要である。人は生存・関係・成長・公欲の欲求を持ち、特に給与、安全、良好な人間関係、成長実感が離職に影響する。上司の共感的な対話、適切な評価、成長機会の提示、ビジョン共有が信頼と意欲を高め、部下の定着と成果につながる。
離職防止と組織成長には、上司が部下の「公欲(貢献意欲)」を満たし、属性別の離職要因に適切に対処することが不可欠である。現場の疲弊を防ぐため、時には賃上げや評価制度の見直しも検討すべきである。また、学びを実践に繋げるには「決めたことをやり抜く」自己認識の形成が重要となる。上司自身が部下の幸せを願い成長することで、離職率が下がり、会社と個人の双方が自信と可能性を得られる好循環が生まれるのである。

そら丸

日々、部下の感情の動きに寄り添い、ノウハウを伝授しながら育成してきたはずの部下が、ある日「お話したいことがあります」と切り出し、退職意向を告げてくる。
あるいは、指示や期待値に沿わないアウトプットが続き、厳しく接すると反発される。その一方で、上長からはストレッチな目標を提示され、何とかやりくりすることを求められる――。
こうした板挟みの状況こそ、今の管理職のリアルです。
本書は、そんな管理職に向けて「気合論」や「理想論」ではなく、現実に立脚した指針を提示する一冊です。
離職は個人の資質や覚悟の問題ではなく、上司の関わり方や組織の仕組みが積み重なった結果として起こります。だからこそ、部下の欲求を構造的に捉え、何が満たされていないのかを冷静に見極める視点が欠かせません。
特に本書が重視するのが「公欲」――自分の仕事が誰かの役に立っているという貢献実感です。
この貢献実感をどう設計するかは、忙しさに追われがちな現場の管理職にとって、大きな気づきとなり、明日からの関わり方を具体的に変えるヒントになります。

おススメポイント

そら丸

『スキルベース組織の教科書』は、従来の職務に縛られず、個人のスキルを最小単位として社内外の人材を最適配置する最新の戦略を提示しています。これは、変化の激しい時代に生き残るための「仕組み」の構築を説いています。対して『離職防止の教科書』は、どれほど優れた仕組みがあっても、最終的に人を動かし定着させるのは、上司の共感や貢献実感(公欲)といった「心理的つながり」であることを教えてくれます。
高度なスキルテックを導入して個々の専門性を活かす場を整えつつ、現場では管理職が一人ひとりの欲求に寄り添い信頼関係を築く。この「戦略的な人材活用」と「人間味のあるリテンション」を両輪で回すことこそが、これからの時代に選ばれる組織の条件であると、2冊を通して強く実感させられます。




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