松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記(安野貴博)の次に読む本は

あらすじ

大企業リクディード社の内定をもらい、インターンとして働いていた松岡まどか。厳しい上司・三戸部の指導の下、奮闘していた。しかし、ある日突然、内定を取り消され、やけになっていたところに起業をもちかける詐欺にひっかかってしまう。1年以内に時価総額10億円の会社を作れなければ、1億円の借金を背負うことに。果たしてまどかは起業に成功することができるのか。AIを駆使して起業に挑むお仕事小説。

著者自身がAIエンジニアかつ、AIチャットボットの会社の創業者ということで、その経験が物語の臨場感をひきたてています。
起業って何から始めれば良いのか。どんな風に事業を立ち上げていくのか。
具体的なスタートアップの段階や、経営者の心理が仔細に描かれています。

スタートアップへの出資という詐欺、1億円という莫大な借金、うまくいかない資金調達、競合他社からの嫌がらせ…
ひとつ危険を回避できたと思ったら、次の問題が起きる。
前途多難な主人公まどかの行く末に、どきどきしながら読み進め、いつの間にか一気に読み切っていました。
心臓が休まることのない問題の連続だが、その分、頼りになる先輩や有能な同僚・部下の存在に励まされ、そして何よりAIを使いこなすまどかの踏ん張りに、勇気をもらえます。
最初は周りの言うことに流されるままで頼りなかったまどかが、経営者として覚悟を持ち始め、自分の理想の会社を作り上げていく姿は、凛々しくかっこいい!
起業を夢見ている人や、今まさに経営者として奮闘している人に、ぜひ読んでほしい一冊です。

次に読む本

あすは起業日!(森本萌乃)

コスメ会社に勤めていた加藤スミレは、突然のクビを宣告される。
絶望するスミレだったが、かつて「起業したい」という夢を持っていたことを思い出す。
選書サービスを提供する会社を起業したスミレだったが、投資家の反応はいまいち…
スキルも人脈もお金もない。あるのは本への愛のみ!
そんなスミレは、果たして会社を軌道に乗せることができるのか…!?

こちらも著者は実際にオンライン書店「Chapters」を立ち上げ、現在も経営者として働く起業家。
その経験が基になっているため、資金調達や事業内容を決めていく過程がとてもリアルです。

サラリーマンとして無気力に働いていた主人公が、解雇をきっかけに自分の本当にやりたいことを見つめなおし、起業者という新たな世界で、右も左も分からない中で道を切り開いていく姿に勇気をもらえます。
元々、私は起業する意思はなかったので、これを読んで「起業しよう!」というマインドにはならなかったけれど、今の自分の働き方は、自分の価値観とあっているのかな?と振り返るきっかけをもらえました。
男女問わず、働く人を励ましてくれる本だと思います。

おススメポイント

『松岡まどか、起業します』と『あすは起業日!』、どちらも初めて起業する女性が主人公なので、一見すると「スタートアップの成長物語」という主軸は同じように見えます。
けれど、まどかは大学4年生で、働いた経験はほぼなし。
一方スミレはサラリーマンとしてのキャリアを持っている。
両者の違いによって、読者の印象も大きく変わってくるのではと思います。

まどかは、就活中の学生やインターン生など、これから働き始める人たちを鼓舞してくれる主人公。
スミレは、会社員人生を経験している社会人に、働く意味を改めて見つめなおすきっかけをくれる主人公です。
『松岡まどか』を読んで元気をもらった人はもちろんのこと、あまり入り込めなかった人にも、『あすは起業日!』を読んでほしいと思い、この本を選びました。

特に、『松岡まどか』の方は、競合他社の嫌がらせなど少し劇的な味付けが多めですが、
『あすは起業日!』は大きな事件はなく、ただただ地道に、資金調達でのプレゼン準備や人脈づくり、投資家を納得させる事業内容の考案など、具体的なステップに文量を費やしています。
(それでもわくわくしながら読み進められるので、心配ご無用!)

何も考えず、ただ会社で望まれる通りの仕事をするだけの人生に、少し退屈さや窮屈さを感じている人にこそ、おすすめしたい一冊です!


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA