犬と会話する方法:動物行動学が教える人と犬の幸せ(パトリシア・B・マコーネル)の次に読む本は

あらすじ

著者はアメリカで活躍するドッグトレーナーで、動物行動学者でもある。
それらの経験を長年積んできた彼女が、犬、人間、そして類人猿の行動を観察し、共通点や差異を浮き彫りにすることを通じて、犬とのより良い関係の築き方を考えていく。

訳者あとがきではこう述べられている。
「本書は犬の訓練に関する本ではない。むしろ、私たち人間に向けて書かれた指南書である。」

あらすじだけを見ると硬い学術書のように思われるかもしれませんが、ジョークも交えた軽めの文章で読みやすいです。
著者自身の飼い犬とのエピソードや、トレーナーとして相談を受けた事例など、具体的な話を挙げながらの説明が多いので、そういう意味でもわかりやすい内容だと思います。

中には、他のトレーナーから間違った指導を受けた飼い主が、犬を地面に叩き付けてしつけをしていたというショッキングな話もありました。
体罰をもって従わせようという振る舞いは、流石に昨今では少ない気はしますが、それでも全くないとは言えないと思います。
体罰までいかなくても、いらいらして犬に怒鳴ってしまった記憶を持つ人は、実は多いかもしれません。
そうした事態に陥ることを避けるためにも、犬に対してどう行動するのが良いのかを知っておくことはやはり重要です。
本書にはそのヒントが多く散りばめられています。

愛犬家には訓練に関する良書を多く読んでほしいという一文もありました。
本書を読むだけで犬の訓練ができるようになるとは言えませんが、参考になる話は多いので、少しでも気になる要素があった方はぜひ手に取ってみてください。

次に読む本

最新研究で迫る 犬の生態学(菊水健史)

著者は動物行動学を専門にしている大学教授。
人が家畜として飼育した初めての動物であると言われる犬について、その行動や生態を動物行動学の見地に基づき考えていく本。
最新研究で明らかになった話や、犬の歴史、犬種の説明、人に対する犬の行動理由などが紹介されている。

見開き2ページで内容がまとまっている構成で、文章もわかりやすいです。
更に魅力的なのは、ページごとに描かれているイラストがかわいいところ。
文章に対してシンプルながらも的確なイラストが載っているので、理解が捗ります。

最新研究の紹介では、例えば飼い主の視線が外れると「待て」の指示に背いてしまったり、量の多いご飯皿と少ないご飯皿を目の前に出すと多い方を選んだり、といった内容の紹介がありました。
テレビやネットの動画で見たことがあるような行動についても研究は行われているのだなあと思ったところです。

しぐさと心理について語られている第3章は、犬を飼っている人なら「あるある」と思える行動が多く載っています。
ただ、人間からすると理解や共感のしづらい行動もあります。食糞はその一つでしょう。
この食糞は犬の本能行動の一つであって、犬からすると不自然なものではないそうです。

このような、人間ではなく犬にとって自然な行動かどうかを知ることは、犬を飼う上で非常に役立つだろうと感じます。
この本は、まさにその一助となってくれるものだと思います。

おススメポイント

1冊目の『犬と会話する方法』の原著は2002年に出版されています。
読んでいて特に古いと感じたところはありませんでしたが、当然ながら出版日以降の研究は紹介されていません。

その点、2冊目の『最新研究で迫る 犬の生態学』は2024年の出版です。
本の中では、2020年代に発表された研究成果について触れられている部分もありました。

なので、1冊目の本で全体的な理解をしつつ、2冊目の本で最新研究部分もカバーするという読み方をおすすめします。
ただ、いきなり翻訳本を読むのは抵抗がある…といった場合は、イラストが豊富でわかりやすい2冊目から読んでも良いと思います。

読み比べをしてみるのも楽しいです。
例えば1冊目では、犬は手で指し示した方向に動かないとありました。
2冊目では、指さしを理解できるとありました。

一見矛盾するようですが、1冊目の場合は、手で指している方向と顔の向いている方向が異なっていました。
2冊目の場合、指し示した方にボールを探しにいけるとありましたが、その時の顔や体の向きがどうなっていたのかは不明です。
総合すると、指さしは理解できるとしても、それだけで犬を動かせるわけではないということでしょうか…。

このように、2冊を合わせて読むと新たな気付きを得ることもできそうです。


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