あらすじ
背骨が湾曲していて施設暮らしの主人公「釈華(しゃか)」。親が残してくれたグループホームで、ウェブライターとしてコタツ記事を書いている。また、官能小説を小説投稿サイトに投稿している。
SNSでは、障碍者である自分の思いなどを赤裸々に吐露している。妊娠して中絶したい、という性的な欲望を。主人公のSNSは、グループホームのある男性スタッフに見られていた。主人公は、そのスタッフと性的な関係を持つようになる。
障碍者自身による作品、ということで、読むだけでもかなり辛い内容がありますが、読み応えのある作品だと思います。
重い障碍があると、本を読むのにも苦労する、など、今まで意識していなかったことも意識させられます。自分の視点がいかに狭かったのか、ということを痛感させられます。
ラストシーンでは、風俗嬢「紗花(しゃか)の視点で描かれます。私は釈華が書いたフィクションの一番面かな、という解釈でしたが、紗花視点の現実、という解釈もあるようです。
次に読む本
アリアドネの声(井上真偽)
主人公ハルオは、ドローンを制作するベンチャー企業で働いている。ある日、巨大地震が発生し、目が見えない&耳が聞こえない中川博美が、地下に取り残されてしまう。ハルオは災害救助用ドローンを使って、なんとかして中川博美を安全なシェルターまで誘導させようとする。
障碍者と、ドローンを介して協力し、安全に非難するというミッションを達成する。
ストーリーは単純ですし、ご都合主義的な部分もありますが、ハラハラドキドキさせる展開でどんどん先が読みたくなりました。
(伏線・ヒントが多いので途中で気づく人も多そうですが)最後で明かされる秘密には、はっとさせれらました。自分だったら、中川博美のような行動ができただろうか?
おススメポイント
『ハンチバック』も『アリアドネの声』も、障碍者の思考・行動によって気付かされる、という共通点で選びました。
『ハンチバック』は辛い側面が多かったのですが、『アリアドネの声』はハッピーエンドですので、この順で読んでもらえたらと思います。
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