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「年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活」小林美希の次に読む本は、「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」

あらすじ

年収443万円、日本の給与所得者の平均年収の金額です。
本は3部構成になっており、主に就職氷河期世代に社会に出た方をターゲットとした
インタビューが記載されています。

1部は世帯年収900万円〜1500万円の年収ゾーンにいる人、2部は平均年収を大きく下回る人へ焦点を当てています。

・スーパーで真っ先に手に取るのは『もやし』の主婦
・スターバックスで和三盆ほうじ茶フラペチーノのトールサイズ705円を我慢しなければならない方
・家のローン、子供の学費の貯金で精一杯の方
・奨学金の返済をするためにカードローンで借金をして自転車操業状態の方

どの方の実例を読んで胸が苦しくなり、ぶつけようのない憤りを感じながら読み進めていました。

3部は1、2部で取り上げた方たちが、なぜそのような生活をしなければならなくなったか、
格差の原因を企業や国、社会保障の切り口から原因を探しています。

・企業倫理を優先させ、人件費を抑制出来るような労働環境の規制緩和を行った政府について
・女性が出産のため職場を離れると復帰が難しい社会をどうするか?
・待機児童問題を解決するために急ピッチで作られた保育園の課題

様々な要因が重なり合って今の苦しい日本が形成されていると痛感しました。

著者は大学就職率が初めて6割を下回った2000年に大学を卒業しました。
就職氷河期の当事者でもあり、非正規雇用も経験されています。2007年よりフリーのジャーナリストで主に就職氷河期世代の雇用、結婚、出産、育児などの問題に対して、
なぜそれが発生しているのか、構造的な要因について解明することを目的に活躍されている印象です。

コマツ菜

本書の目的は『平均年収前後の生活を知る事から、これから何を問い直さなければいけないかを考えることにある。』と筆者は記載しています。

本に記載されていた方たちは就職氷河期、バブル崩壊、金融不安、リーマンショックと大きな時代変化や環境変化が発生したタイミングと社会に出て働くタイミングが重なり、

自分の意志だけではどうしようもない不景気、低賃金、重労働、生活苦に悩まされていると感じました。

ただそれはコロナショック、という避けようのないパンデミックに翻弄されている20代後半の世代(私は現在27歳、2018年に大学を卒業し、就職。社会人2年目でコロナが発生)と重なり、とても楽観視出来ないな、という感情になりました。

漠然とした不安や閉塞感、経済の不透明さから、目先の利益を求めて人は行動してしまいます。かく言う私も日々の生活で精一杯だと考える余裕がなくなり、『長期的にベターな選択』より『短期的に楽な選択』を選んでしまいがちです。それではダメです。

自分一人では何かが出来る訳ではないことは100も承知ですが、長期的にベターな選択を模索し、実行することで同じ考え方の人が増え、一つずつ社会の矛盾や不安を解消出来ればよいなと思いました。

次に読む本

「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」ジェームズ・ブラッドワース (著), 濱野 大道 (翻訳)

イギリスの低賃金労働を著者が潜伏取材したものを記載しています。
潜伏先はアマゾンの倉庫、訪問介護、コールセンター、ウーバーのタクシー。

グローバル企業にでは『ギグ・エコノミー』と言われる雇用形態、経済が近年導入されています。ギグ・エコノミーとはインターネットを通じた単発の仕事でお金を稼ぐといった働き方や、そうした仕事でお金が回っている経済のことを指します。そこで行われている搾取や移民労働者への現地人の不満、持つ物と持たざる者との格差拡大を考えさせられる本です。

コマツ菜

Amazonで物や本を購入すると、たいてい1~2日で自分の手元に届くような生活は

もはや当たり前です。それは商品購入〜配達までのリードタイム(必要時間)が短いことを意味し、そこには驚くほど劣悪な労働環境で働く人が大勢存在することで成立していると言うことを再認識しました。

便利な生活の裏にはそれを支える人や技術があり、それは機械やAIなどで効率化、簡素化が出来る物もあれば人海戦術で取り組まなければサービスを維持出来ないものもあります。

私たちが感じている恩恵や享受できているサービスの裏側ではどのようなことが起っているのか、を知れる本です。

おススメポイント

コマツ菜

インタビューか実体験かで差異はありますが、どちらも社会的弱者の労働状況からその国の問題点を解明していくことができます。

日本では低賃金での労働、学歴社会への偏見等が課題となっていますが、

イギリスではそれに加えて移民や人種での差別も日本より激しく、

当然ですが解決すべき課題の種類や根深さも違います。

『だから日本はダメなんだ』『イギリスのここは相容れないよね』と言うような議論や感情を持つのではなく、多角的な視点から情報収集をして、長期的にはベターな思考、選択をするためにこちらの本を選んで頂ければ幸いです。

この記事を書いた人

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コマツ菜

年間読書数300冊ほど。ジャンルは小説やビズネス本から流行りの本まで幅広く。
27歳で社会人5年目。自動車メーカーで主にEV関連の設計の仕事に従事しています。
趣味は読書以外ではサイクリングです。

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