『かがみの孤城』 辻村深月の次に読む本

あらすじ

 中学生の安西こころは、学校での居場所を失い、登校することが出来なくなっていた。自身の部屋に閉じ籠るこころだったが、ある日、部屋で光り輝いた鏡に手を伸ばした瞬間、その中に引きずり込まれた。そこで見たのは、西洋の童話で見る様な城、そして、オオカミの面を着けた少女と、こころと同じ中学生の少年少女達。オオカミ面の少女は、こころ達7人に告げる。「この城に隠されている、”願いの部屋”に入るための鍵を探してもらう。見つけた1人が、願いを叶える権利を得る」―と。
 自分と似た境遇の仲間との関わりから、徐々に城に居場所を見出し始めるこころ達。果たして7人は、鍵を見つけることができるのか、そして、誰がどんな願いを叶えるのか―。

そーた
そーた

 登場人物の心理描写や情景描写が細やかで、臨場感があります。特に主人公のこころが学校に通えなくなる経緯は、生々しささえ感じさせる程で、胸が痛くなりました。だからこそ、城で似た境遇の子供たちと出会い、彼らとの交流を深め、新しい居場所を見つけていく様には、読んでいて嬉しい気持ちにさせられました。

 「願いの鍵はどこにあるのか?」、「オオカミ面の少女は何者なのか?」、等々、多くの謎がありますが、クライマックスで満を持して明かされます。物語の至る所に散りばめられた伏線が一気に収束しており、その構成は本当にお見事。そして、希望を感じさせるラストシーンも印象的でした。物語の導入部分と対になっているのも、巧い演出です。

 深く掘り下げられた登場人物、緻密な物語構成、『かがみの孤城』の舞台設定と、いずれも素晴らしく、まさに一気読みでした。大人になってからでも面白かったですが、多感な学生の頃に読んでみたかったです。

次に読む本

『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月

 ある雪の日、学校に登校した8人の高校生達。いつも通りの光景のはずだったが、無人の校舎に閉じ込められてしまった。困惑する生徒達だが、数か月前の学園祭で、自殺した同級生がいたこと、そして何故かその名前が思い出せないことに気付く。
 自殺した同級生が、この校舎の状況を作り出しているのか?だとしたら、その目的は?どうしたら出られるのか?閉じ込められた生徒達が、その謎を解き明かしていく―。

そーた
そーた

 校舎に閉じ込められたという状況がスリリングで、自殺した同級生の名前を思い出せない謎も相まって、「何故?一体誰が?」と、興味をもって読み進められました。徐々に生徒達が消えていくのも、物語の緊張感に拍車をかけています。終盤の解決編で真相が明かされますが、予想外の展開に驚かされました。所々にあった伏線も、綺麗に回収されております。

 8人の生徒全員にスポットが当てられ、個々のエピソードが描かれるのも良かったです。それぞれ何を考え、どういう過去を抱えているのか等が丁寧に描写され、一部の生徒に対しては、「学生の頃、こういう気持ちになったことがあったな…」と、感情移入しながら読めました。

 ミステリーとしても面白いですが、それ以上に、学生時代を想起させてくれる、青春ものとしての色が濃い作品だと感じました。

そーた
そーた

辻村深月先生の作品から、二作選出しました。どちらも、現実から切り離された舞台での物語であること、登場人物の心理描写が丁寧で細やかなこと、話のあちこちに伏線を散りばめてクライマックスで回収する構成等、共通点も多いです。青春×ミステリー小説を読みたい方に、特におすすめしたいです。

この記事を書いた人

そーた

社会人で、エンジニアをしています。読書が好きで、割と幅広いジャンルを読みますが、一番読むのは小説ですね。特に好きな作家は、森博嗣、米沢穂信、小野不由美、辻村深月(敬称略)。どうぞよろしくお願いします。

  • ブックマーク

この記事を応援する

1日550円(消費税込)で、この記事をトップページで掲載し、目立たせることができます。広告費の一部は、レコメンド記事執筆報酬に割り当てられます。