あらすじ
52ヘルツのクジラの声は他のクジラに届かないのだという。
孤独なクジラ。そのクジラの姿と重なるような主人公のキナコと声の出せない少年が出会う物語。
2021年本屋大賞受賞作。
心がひりひりしました。孤独で、怖くて、ただ誰かに愛されたくて、愛されなくて、心が死んでゆく日々。その傷口に、かけがえのない友人たちのやさしさが沁みていきます。痛いほどしみて、涙が止まらないほど。
辛くて苦しいけど、こういう話こそ読むべき本なんじゃないだろうかと切実に思って、本屋大賞を受賞したとき心から納得しました。
身の回りにもきっと、普段は気付かないだけで、キナコや彼のように声にならないSOSを出している人はたくさんいるはずです。私も気付いて受け止められる側の人でいたいと思いました。
次に読む本
愛を知らない(一木けい)
合唱コンクールでクラスから浮いている橙子がソロに推薦され、伴奏の涼ちゃん、指揮者の青木さん、男性ソロのヤマオと4人で練習を始めるところから関係性が変わっていく。家族の歪な愛が浮き彫りになる物語。
支離滅裂で嘘つきで、優しいお母さんにさえ秘密が多くソロのことも言わない橙子。橙子って変わってる子、なんて思っていたら…その物語は終盤で一気に転調しました。思わず絶句してしまうほど、苦しい展開。
寂しさとか悲しさとか、愛されたいのに愛し方も愛され方もわからない絶望感や、感情が溢れ出して暴走して止まらなくなりました。言い尽くせない位、威力のある本でした。
どちらの作品も愛されたい気持ち、愛されない苦しさが描かれており、感情が揺さぶられた本でした。
愛することとは何かと根本から問われるようなこの2冊を続けて読むことをおすすめします。
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