『破局』遠野遥 の次に読む本

あらすじ

大学4年生の陽介は、引退したラグビー部で指導しながら公務員試験に向けて日夜勉強を欠かさない。大学の単位は落とさないし、政治家を志す彼女がおり、これまでにも交際した相手は何人かいる。 セックスさせてくれない彼女から、後輩”灯(あかり)”にのりかえることにした陽介。すると今度は、灯の強すぎる性欲についていけなくなり、元カノ”麻衣子”との間で揺れることになる。

にゃんこくらげ
にゃんこくらげ

主人公陽介目線で語られる文章は、自分のことも他人のこともどこか冷め一歩引いて淡々とした調子。だが、更に一歩引いた目線で読む読者には、性欲に囚われた自意識過剰で滑稽な姿が見てとれる。 いかにも全てのことに興味がなさそうに、それでいて器用にこなしているように見える(語られている)が、実際はどうだろう?往々にして、上手く振る舞っている気でいるのは自分だけ。すました顔をしているが、大学という平和で小さな世界の中で、性欲に振り回される陽介も彼女たちも、全く青く非常に人間らしく感じられた。

次に読む本

『藪の中』芥川龍之介

藪の中で男の死骸を見つけた木こりから始まり、男を殺したという盗人”多襄丸”や男の妻など関係者の証言で構成される物語。 なぜか多襄丸、女、男(の死霊)はそれぞれ自分が殺した(男は自害)と訴える。真相は語られているのか、まさに藪の中…

にゃんこくらげ
にゃんこくらげ

私はあまり古典系文学作品を読まないのだけど、これは好きな作品です。 まず、殺された男の死骸が発見されるという事実があるが、その経緯が不明。事件当事者達の証言はどれも微妙に食い違い、なぜかそれぞれ自分がやったと主張する。 しかし、よくよくその発言を聞くと、当事者3人(多襄丸・女・男)の話には、2人は共通した事柄を、1人だけ違うことを言っているという内容がいくつかある。 例えば全員が少しつづ嘘をついているとしたら? そして嘘をつく理由は? それを考えていくと、1つのストーリーが浮かんできます。正解かどうかは語られていないので分かりませんが、”保身”や”人の浅はかさ”を皮肉る芥川の姿が見えるようです。

にゃんこくらげ
にゃんこくらげ

芥川賞作品と、芥川作品。 どちらも自分に都合の良いように世界を見て語る人間というものを、淡々と描いています。なんて愚かで恥ずかしいの!と思わず赤面してしまいそうな”人の性”が見て取れます。

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この記事を書いた人

にゃんこくらげ

趣味が読書の下っぱ会社員。 読むものは小説が9割9分で、そのジャンルは雑食です(特にミステリが好き)。 読むのがおっそいのが悩み。

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