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三体II 黒暗森林(劉 慈欣)の次に読む本

あらすじ

前作の「三体」で異星からの侵略軍「三体艦隊」が地球に近づきつつあることが判明し、今作では三体艦隊を迎え撃つべく防衛計画を構築する人類と、それを阻止しようとする三体側の頭脳戦が繰り広げられる。人がアウトプットする情報全てを収集できる三体艦隊の斥候「智子(ソフォン)」に計画を暴かれないように、人類側は4人の「面壁者」の頭の中だけで防衛計画を練らせるが…

sheep2015
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昨今翻訳版が発売され日本でも話題になった中国発のSF大作の二作目。宇宙人の侵略を描く作品は「宇宙戦争」の昔から数多くありますが、本作の特徴は宇宙人の地球到達まで数世紀という長い猶予がある点です。世紀をまたいで繰り広げられる三体人と地球人のダイナミックな駆け引きと、誰にも心の内を打ち明けられない面壁者の苦悩が見所です。

次に読む本

量子魔術師(デレク・クンスケン)

舞台はワームホールが発見され、人類が太陽系を飛び出した未来。天才詐欺師ベリサリウス・アルホーナが弱小国家のサブ=サハラ同盟から受けた依頼は、厳重に警備されたワームホールに12隻の戦闘艦を通過させるというものだった。遺伝子工学の専門家、爆弾のスペシャリスト、遺伝子操作された人間の亜種など、ベリサリウスは個性あふれるメンバーを集めて任務に挑む。要塞化された二つの小惑星と、弩級戦艦に守られたワームホールを突破することは出来るのか。そして不自然に発達したテクノロジーを持つサブ=サハラ同盟艦隊の秘密とは。  

sheep2015
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重厚な設定を備えたSFです。量子現象を解明するために、脳に遺伝子改造を加えられた改造人類「ホモ=クアントゥス」をはじめとする人類の亜種たちの苦悩、「パトロン国家」と「クライアント国家」の主従関係と確執、ワームホールネットワークを残した「先駆者」と呼ばれる謎の存在など、欲張りかつ盛り沢山な設定が楽しめます。

「SFのオーシャンズ」という宣伝文句と共に書店に並んでいましたが、この際「オーシャンズ」や「コンフィデンスマン」のようなコンゲームのイメージは脇に置いて、作者の作り出した重厚なる世界を満喫してみてはいかがでしょうか。

sheep2015
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今回選んだ二作品には共に超長距離を移動する艦隊が登場しますが、比較してみると「三体Ⅱ」は艦隊が到着するまでの長期間の頭脳戦、「量子魔術師」は艦隊がワームホールをくぐる瞬間に焦点を合わせた短期決戦の駆け引き、という対照的な内容であることが分かります。題材は似ていても、設定上ワープが可能かどうかで大きく中身が変わるのが面白いですね。

もしも現実でワープが可能だったら不毛な移動時間が無くなっていいのに、と思う方もいるかもしれません。しかし、「三体Ⅱ」はあえてワープを禁じ手にして艦隊の移動時間中にたっぷりと頭脳戦を繰り広げることを可能にし、「量子魔術師」はワープを可能にしてもワームホールの出入り口に厳重な警備が置くことで、移動する側とそれを阻止する側のドラマを生んでいます。退屈な通勤、通学時間に、こうした「移動」が生み出す物語を楽しむのも一興ではないでしょうか。

この記事を書いた人

sheep2015

sheep2015

放っておくとだいたいSFとホラーに手が伸びる大学生。最近書評ブログを始めました。本は最初は本棚に並べてても、結局どこでも読めるように部屋中に散乱させる派。アイコンの羊は、「羊をめぐる冒険」と「天冥の標」へのリスペクトです。

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