あらすじ
『博士の愛した数式』は映画化もされており、多くの人に愛されている小説です。新潮文庫の100冊にも選ばれています。 主人公の私は博士の新しい家政婦としてやってきます。博士は47歳の頃に遭った交通事故の影響で80分しか記憶が持たず、すぐに私との出会いや経験を忘れてしまうという記憶障害がありました。 博士は私の息子を頭が平らだからという理由で√(ルート)と呼んだり、無邪気に数学の知識を披露します。
まるで予想ができない博士のユニークな言葉や行動は、読者や登場人物の心をだんだんと温めてくれます。硝子のように透き通った文体が美しく、数学という学問の美しさをしみじみと実感できる作品です。
次に読む本
「ぼくには数字が風景に見える」(著者:ダニエル・タメット)
ダニエルは数学と語学に長けた天才です。彼は円周率を2万桁まですらすらと言え、10の言語を話すことができます。 そんな彼の数字や言葉の見え方はちょっと独特。例えば1は明るく輝く白色で、懐中電灯に照らされたように見えます。 自分の感覚が独自のものだと気付いた彼は、「どうやったら普通になれるのか」と葛藤します。またアスペルガー症候群特有の対人関係の難しさに悩むことも。そんな彼が「人とは違う」自分を受け入れ、個性を認めるまでの物語です。
どちらの本も「数字を愛した人間」が題材になっています。 『博士の愛した数式』『ぼくには数字が風景に見える』の両方に共通するのは、数学への優しい眼差しです。どちらも柔らかな文体で、数学が苦手だったり数学の知識が全くない方でも楽しめるストーリーになっています。数学を嫌いな人にこそ読んでほしい、数学愛に満ちた本です
コメントを残す