あらすじ
100年後、地球に小惑星が衝突し、人類は滅亡する――。突如突きつけられた未来の終焉は、世界を大きく揺るがす。だが、それは「自分の生きている間には関係のない未来」でもある。この状況下で、人々は何を思い、どう生きるのか。人類の存続を担う子どもたち、救済に希望をかける者、未来など無意味だと考える者…。本作は、近い将来に地球滅亡の危機が訪れるという設定を通して、「生きる意味」「未来への想像力」を問い直す短編集である。

世界が滅びるなら自分の好きに生きたらいい。物語でこんな表現がある。滅びる社会のために生きる必要はない、自分の好きなように生きたらいいと。一方で作中には少年が世界が滅びなければ、好きなように生きてはならないのかという疑問を呈す。
作中だけでなく、僕たちの生きる今の社会にも参考にできる考えや生き方のヒントが書かれているように思う。
次に読む本
劉慈欣「超新星紀元」
1999年に地球の近くで超新星爆発が起きた。その影響で地球には大量の放射線が降り注ぐ。
1年後、大人は死に至る。最後に大人は子どもたちに何を与えて死んでいくのか?13歳以下の子どもたちだけが生きる世界はどうなっていくのか?SF作家による長編物語。

人類の大多数である大人が存在しなくなったことで圧倒的に人口に対して物が溢れていることである。子どもだからというのもあるだろうが、遊んだおもちゃや物に対する所有意識は現代社会とは異なる。ここからこれからの物を所有することやその権利について考察するのは大変興味深い。
他にも子どもだけの世界になった世界線のアイデアとして楽しむことができる一冊だ。
おススメポイント

「どうせ世界は終わるけど」では世界が終わる前の人間の生きる意味や価値観について考察することができる。しかしどうしても現在の一つの分岐点としての物語であるがために物足りなさも感じた。例えば現代社会よりも進歩したテクノロジーやそれと同時に存在する飛躍的な価値観だ。つまりよりSF感を求めるのであれば、「超新星紀元」はその欲望を満たしてくれる本の一つであろう。
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