あらすじ
労働人口が減り続ける今後の日本において、さらなる仕事の効率化は企業の存続にも関わってきます。「外注力(=外部に頼る力)」を正しく使うことはキーポイントとなってくるでしょう。
本書では、作者の村井氏が数々の企業の社外番頭として「頼らないリーダー」から「頼るリーダー」への変貌を目の当たりにしてきた経験から、その偉大な力を説いています。
メリットを知ったところで、どのようにそういった人材に出会うのか、戦力となってもらうためにはどういう心構えが必要なのか、にまで具体的に踏み込んだ内容になっています。
経験談をもとに書かれていてイメージがしやすく、読者もスピード感を持って行動に移しやすいでしょう。
企業に所属する各種リーダーだけではなく、フリーランスなどの外注を受ける側にも参考になる一冊です。

AIや便利家電、家事代行など、外注力は民間レベルでもよく見かけるようになりました。
まずはレビューを読み、買って試し、得意不得意や自分の環境に合っているかを確かめ、十分に能力を発揮できるように工夫を凝らすでしょう。
相手が人であっても、外注する際には同じステップが必要だとわかります。
本書では、外注力のメリットについて一冊の半分ほどを割いていて、その凄さを筆者の実体験をもとに解説しています。
最も重要な目的は、リーダーをはじめとした各人が取り組むべき課題に集中することで、最高のパフォーマンスを発揮すること。
外注力を駆使することで、その最も大切な目的が達成しやすくなるけれど、新しいことを導入することに抵抗がある人は多いのではないかと思います。
しかし、数々の企業を渡り歩いて知見を積んだプロは、俯瞰的な視点を持ち合わせていて、社内の誰かにその役目を求めることは、もはや博打なのだと筆者はいいます。
また、プロの導入によって企業の特徴把握やBtoBの企業提携など、外部の力や人脈でしか実現できないことに手が届く可能性もあるのだとか。
可能性は、新しい風を入れることで発生するのだと感じます。
短期的に現れる効果の多寡にとらわれてしまったり、コスト面で躊躇するリーダーもいる中、企業がプロを導入することで得られた経験談も紹介されています。
外注によって「個人の得意、持てる能力を存分に発揮する」ことこそが、スピード感が求められるビジネスの現場で、最短距離×最適解を得る方法であることがわかります。
次に読む本
相談する力(山中哲男)
相談する力とは、自分ひとりの限界を突破し、仲間の力を借りてやりたいことを実現させる力のこと。
実践によって身につけることができる、著者が考える最強のビジネススキルです。
相談によって、複数人の考えを借りつつ自分で検証を繰り返すことで、加速度的に物事を進めることができます。
人と人とが顔を突き合わせてこそ生まれる化学反応は、本やインターネットからの情報だけでは得られません。
相談が苦手な人、短期的な結果だけを見てしまう人、すぐに出てくる正解を求めてしまう人など、相談の力の恩恵を受けきれない人も必見の内容です。

相談は身につけるべきスキルである、という点は目から鱗でした。
目的や現在地を自分の中でハッキリさせ、相手に共感してもらえるようにする。そのうえで、自分の伝えたいことをできるだけまっすぐ届けて、相手にも遠慮なく意見を言ってもらう。
そのためにスキルが必要になってくるわけです。
相談に苦手を感じる人には、相談への思い込みを外すことも大事です。
本書では、相談とは教える側と教えられる側で成り立つものではなく、対話を通したヨコの関係であると述べられています。
雑談の中で何気なく話したことが、偶然の産物として思わぬ展開をもたらすことも、確かにありますよね。
だからこそ、相談を神格化して恐れる必要はなく、行き詰まったり失速感がある時こそ一旦手を止めて、相談することが突破口になるはずです。
相談することが迷惑なのでは、と二の足を踏む場合も、迷惑か判断するのは相手です。無理ならば相談相手を変えようと考えておけばいい、と相談のハードルを自ら高くしないこと。もっと気持ちもフットワークも軽くしていいのです。
また、事業が動かないときには相談は必要ですが、焦りを相談に乗せるのは禁物です。
時間がないからと正解だけをもらおうとしたり、自分の計画ができたからと勢いに乗って突き進もうとしたりすると、適切な相談ができません。
手を動かす時は素早く取り組み継続して進め、相談そのものはゆったりと余白をつくって行うのがベターです。相談は物事を思い通りに進めるものではなく、思い込みを外すものであると筆者は述べています。
本書で紹介されているスキルは事業を前提にしていますが、家庭や地域の活動など、何かやりたいことがあるときにも役に立つはずです。「ソフトバンクで孫社長に学んだ夢を10倍速で叶える方法(著・三木雄信)」にもありましたが、大きく何かを動かす人は必ず人の力を借りているのだと感じました。
おススメポイント

人の力を借りることで、自分ひとりの限界を越えられることを教えてくれる二冊です。
私自身は人と一緒に何かをすること、頼ることはすごく苦手意識があります。しかし、これがスキルであるなら身につけられるし、もっと違う世界が見られるかもしれないと希望を持てました。
同じように人の力を借りることに抵抗がある方に、ぜひ読んでもらいたいです。目の前が開ける感覚を与えてくれるでしょう。
今はSNSや趣味のコミュニティなど、最適な相談相手にアクセスしやすい時代。相談相手が身近にはいなくても、有意義な相談相手が見つかりやすいでしょう。
さらに伴走者が必要となれば、プロにお願いすることも選択肢に入ってきます。
著者もさまざまな事業をするにあたり、自分だけの力ではここまで来られなかったと断言しています。
人の力を借りることを投資と捉え、時間とお金と手間をかけて自分で考えて行動する。
それによって思いもかけないところまで跳べる、と二人の著者が教えてくれます。
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