コンビニ人間(村田沙耶香)の次に読む本

あらすじ

この本の主人公である古倉恵子は、大学を卒業するも就職や結婚をせずコンビニのバイトを18年も続ける36歳の女性です。  彼女は、他人の思う「普通」が理解できず、コンビニの清潔な環境や均質なマニュアルに安心感を覚える変わった人物です。彼女は「普通」の女性であろうとするあまり普通でないような行動をするのですが…。

次に読む本

異邦人(アルベール・カミュ)

こちらも他人の考える「普通」とは違う行動をとる人物が主人公の古典作品です。  主人公ムルソーは、母親の死の翌日に海水浴に行き、そこで出会った女性を関係を結んだり、どう見てもチンピラな男と友人になったり、論理的一貫性のない行動をとる人物として書かれています。

ムルソーは、友人が抱えたトラブルに関わるうちに人を殺害していましまい、その動機を「太陽が眩しかったからだ」と答えます。後半の裁判では「普通」の人達が、ムルソーがいかに常識を欠いた人物であるかを糾弾し、刑務所に出入りする司祭は、ムルソーに「普通」の罪の意識を持つように諭します。

あまどく

両作品とも、物語の各所で「普通」とは何か?をテーマにしている点で共通します。僕は、『コンビニ人間』は、現代版の『異邦人』と言えるのでは?と思いました。それくらい両作品は似ています。実際、著者の村田沙耶香さんも、『異邦人』を好きな作品に挙げていることから、『コンビニ人間』には、そのオマージュが散りばめられているのかもしれません。

「普通」の価値観は時代によって変わります。『異邦人』は戦前のフランスの作品ですが、現代の感覚では、ムルソーの行動の一部もそんなに変ではないのかもしれません。『コンビニ人間』の主人公の考えもまた、意外にも世の女性の共感を得ているという意見を聞いたことがあります。

両作品の主人公は、いずれも最後まで「普通」に抗います。そして物語の各所で「普通」とは何かを読者に問いかけます。




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