『国語教師』 ユーディト・W・タシュラーの次に読む本は

あらすじ

元恋人同士である作家のクサヴァーと国語教師のマティルダは、16年ぶりに再会した。
2人はかつてそうしていたように、お互いが創作した物語を順に披露しながら、今までの人生についても語り合っていた。
しかしその内容は、やがて過去のある事件の真相を明らかにしていくこととなる。

ゆめこ

物語はクサヴァーとマティルダが交わすメール、再会後の2人の会話、そして2人が創作した物語をはさみながら、それぞれの人生を交互に辿っていく。
しかし時系列はバラバラで、読み進めるうちに何が真実なのか分からなくなる。
冒頭はミステリー要素が強いが、ストーリーは徐々に全く想像していなかった展開となり、マティルダの印象もガラッと変わってしまう。
これはミステリーであると同時に愛の物語なのだと気付かされる。

ドイツ推理作家協会賞受賞作である本作だが、純粋な謎解きミステリーではなく、様々な要素を持ち、感情を揺すぶられるのが魅力である。

次に読む本

『サイコセラピスト』 アレックス・マイクリーディーズ

画家のアリシアは、写真家である夫の顔に5発の銃弾を打ち込み、射殺した。
それ以来彼女は一言も言葉を発しなくなった。
心理療法士のセオは、彼女の心を開かせるためにその施設に就職し、アリシアの担当となるのだが…

ゆめこ

物語はアリシアの日記の内容と、セオの目線からの話と交互に語られていく。
セオは幼少期に抑圧的な両親の元で育ち、苦しんだ経験を持つため、自分と似た境遇の人を救うために心理療法士になった。
しかし徐々にセオ自身の心も不安定なことが分かってきて、登場人物の誰もが少しずつ怪しく、不穏な空気をまといながら話は進んでいく。
ギリシア悲劇の要素も盛り込まれており、構成が巧みで引き込まれる小説だった。

おススメポイント

ゆめこ

この2作の共通点は、何といってもその巧みなプロットにある。
『国語教師』がメールと創作した物語を軸にしているのに対し、『サイコセラピスト』は日記を軸に話が展開していく。
どちらもミステリー要素は強いが、ひたすら愛を求める人を描いている点も共通している。

構成が見事な2冊で、先が気になり一気に読み進められるのでお勧めしたい。




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