「師匠はつらいよ 藤井聡太のいる日常」杉本 昌隆の次に読む本は

あらすじ

将棋界の天才・藤井聡太七冠の師匠である杉本昌隆八段が、弟子との交流や将棋の話題をユーモラスに綴ったエッセイ集。

藤井七冠は、杉本八段のことを「師匠」と呼び、敬語で話します。杉本八段は、藤井七冠のことを「聡太」と呼び、親しみを込めて話します。しかし、将棋の実力では藤井七冠が圧倒的に上で、杉本八段は「師匠はつらいよ」と嘆きます。でも、それが結構嬉しくもあるとも。藤井七冠に関するエピソードは、愛情に満ち溢れています。例えば、藤井七冠が成人前だった頃、お年玉を渡すべきか迷ったり、藤井七冠が自分のことを「先生」と呼んだ時に感動したりします。藤井七冠も、杉本八段のことを尊敬しており、一緒に食事に行ったり、プレゼントを贈ったりします。二人の師弟関係は、まさに理想的で微笑ましいものです。

将棋界の知られざる逸話や話題も面白く説明しています。例えば、「AI」との付き合い方や、「棋風が変わる理由」などです。また、「棋士の勝負メシ」や「棋士と酒」など、棋士がどんな食事を摂るかや、どんなお酒を飲むかなど、普段知ることができないことを知ることができます。杉本八段は、自分の体験や感想も交えながら、ユーモアたっぷりに書いています。

最後に、先崎学九段と杉本八段の対談「藤井聡太と羽生善治」も見逃せません。先崎九段は羽生善治九段と同期で、藤井七冠と羽生九段の共通点や違い、将棋界の未来などについて語り合います。二人の視点から見た、将棋界の二大天才の話は、とても興味深く読めます。

将棋マン

1話完結のエッセイが100話掲載されていますが、1話が2ページほどなのでテンポよく読み進めることができます。
杉本八段が藤井聡太さんを弟子に迎える時の話や、将棋メシやおやつの話題、タイトル戦やプロのマナーのお話など、プロ棋士の世界の裏側や藤井聡太さんの日常についても知ることができて、クスッと微笑みながら最後まで興味深く読むことができました。
羽生善治さんと同期の先崎学九段と杉本八段との特別対談もあり、藤井聡太さんと羽生善治さんという二人の天才を比較するような内容でとても面白かったです。
将棋を指せる人もそうでない人にもおすすめの一冊です。

次に読む本

「人工知能の核心」羽生善治

人間にしかできないことは何か?

2016年3月、人工知能の囲碁プログラム「アルファ碁」が世界ランクの棋士を破った。羽生善治は、その勝利の要因を、「人工知能が、人間と同じ“引き算”の思考を始めた」とする。つまり、不要な情報を捨てて、必要な情報だけに絞ること。

人間にあって人工知能にないものがあるとも言う。それは「美意識」。美意識とは、自分の感性や価値観に基づいて美しいと感じるものや正しいと感じるものを選ぶこと。他にも感情や倫理や創造性など、人間的な力に関係しています。人工知能はこれらの人間力を手に入れることができるのだろうか。

もはや人間は人工知能に勝てないのか。そもそも勝たなくてはいけないのか。NHKスペシャル『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』の取材をもとに、その先を描く。天才棋士が人工知能と真正面から向き合い、その核心に迫る一書。

将棋マン

この本を読んで、私は人工知能について新しい視点を得ることができました。羽生さんは、天才棋士でありながら、人工知能に対して、謙虚で好奇心旺盛な姿勢を持っています。本書の最終章では、人工知能といかに付き合えばいいのかについて触れていますが、羽生さんは人工知能をフル活用して将棋の研究に活かし、自身と人工知能の強みとをうまく掛け合わせて、将棋の対局で好成績を出しています。人工知能は、私たちの生活や社会に大きな影響を与えていますが、人工知能はあくまでも道具です。私たちが人工知能をどのように使うかが課題であると考えます。将棋界のレジェンド羽生善治さんが自身のフィールドでそのことを示し、私たちに教えてくれた1冊でした。この本を読むと、人工知能についてより深く理解し、人工知能と共存していくためのヒントを得られることでしょう。

おススメポイント

将棋マン

今回おすすめさせていただいた2冊とも将棋界にまつわる本です。
「師匠はつらいよ」は、師匠からの視点ではありますが、藤井聡太と羽生善治という将棋界を代表する2人の超天才がどのような思考回路を持っているのか垣間見ることができます。
共通して言えることは、プロフェッショナルの現場では人間離れしたハイパフォーマンスを発揮するお二人ですが、現場を離れたら一般の人と変わらないという印象を持ちました。
そのあたりを感じてもらいながらぜひ手に取って読んでもらいたい本です。




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