あらすじ
「あなたは生きづらさが『三』の人生を生きることになるでしょう。生まれますか?」
胎児に出生の意思があるかどうかを確認するための「合意出生制度」を法制化させた日本。
生まれてくる子供が送る人生の生きづらさを評価した生存難易度を妊娠九ヶ月の胎児に伝え、
生まれるか生まれないかは胎児の意思を尊重する。
親が産みたいと考えるだけで産むことはできず
胎児の合意を得ずに産むことは、生の自己決定権を無視した
「出生の強制」となり罪に問われることもある。
二年前に結婚した立花彩華は妊娠したばかり。順調な妊娠生活を送っていた。
彩華の携帯が鳴りだした。姉の立花彩芽からである。
子供が産まれた時の喜びを思い出した。
一方で、合意出生制度があったら親として選んでもらえただろうか、という疑問が浮かんだ。
相性は本当に良いだろうか。子供の考え方を尊重してきたつもりだが、いま反抗期を迎えている。
自信を持って「はい」とは答えられない。
親としての問題だけでなく、社会問題との関係もある事に気付いた。
例えば、車に乗ることは二酸化炭素を排出して地球温暖化に繋がり生きづらさが上昇する、という事になる。
この制度の有無に関わらず、
全ての子供たちに生まれてきて良かったと思ってもらえるように、
自分を磨き身近な社会問題にも取り組みたいと思う。
次に読む本
運命の子 トリソミー: 短命という定めの男の子を授かった家族の物語・松永 正訓
小児科の開業医をしている院長のもとに、総合病院の新生児科部長から電話が入る。
「13トリソミー」の赤ちゃんが近いうちに退院して在宅医療になるので
何かあったらよろしくお願いしたいという内容であった。
染色体は通常1番から23番まで2本ずつ、合計46本ある。
「13トリソミー」は13番目の染色体が3本あるという異常で、
心臓の奇形や無呼吸発作を伴う事が多く短命という定めがある。
家族や医師等に見守られて、障碍児の自宅での闘病生活が始まる。
障碍児を持つ家族は大変な思いをするのだろうと想像していた。
「障碍児は親を選んで生まれてくる」と言われるが、
受け入れるまでには多くの時間が必要だろう。
しかし周囲の助けがあれば乗り越える事は可能だと感じた。
さらに幸せについて考える機会が増え、その家族なりの幸せが得られるという事に驚いた。
どんな子供であっても自分の子供はかわいいし、そう思えたら幸せになれるのではないだろうか。
「生を祝う」において、生きづらさを評価した生存難易度に関わる項目として、障碍を持っている事が考えられる。
しかし障碍を持つと本当に生きづらいのだろうか、と思った。
「運命の子 トリソミー: 短命という定めの男の子を授かった家族の物語」を読み終えて、障碍を持っていても幸せに生きていく事はできると感じた。
家族はもちろん周囲の人々がとても暖かく接してくれている様子が分かる。
妊娠するまで、産まれるまで、成長するまで、それぞれ難しい場面に出会う事はあるだろうが、
その事実を受け入れ捉え直す事ができるなら、幸せは訪れるのではないだろうか。
2冊の本を読んで、子供がいる事や健康であるという当たり前のことに感謝の気持ちを持つことができる。
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