ダニエル・キイスの名作を紹介したいと思います。
チャーリィゴードンが、知性を高める手術を受けた日
知的障碍者のチャーリィゴードンは、パン屋で働き、夜間は学校に通っている。
ストラウス博士は、知性を高める研究を行っている。現在はネズミ(名前はアルジャーノン)で実験している段階だ。手術はリスクもかなりあるものだったが、チャーリィは被験者として、知性を高める手術を受ける。
手術後、チャーリィの知性は急上昇し、IQ185にもなった。
賢くなったチャーリィ。幸せに見えたが、しかし、一方で、「知的障碍者を笑い者にしていた人たち」など、人間の醜い側面も知ってしまう。今までの他人の振る舞いに憤慨する。
賢くなったチャーリィが、必ずしも幸せだけではない、という物語の展開は、非常に辛いものがありました。
アルジャーノンに変化が起きる。上昇した知性が、低下しだした。知性を高める手術は、限られた時間しか有効ではなく、その後は知性が低下し、元の知性以下になってしまう。アルジャーノンに起きたことは、チャーリィにも当てはまる。
手術がうまくいったかと思いきや、残酷な結果になります。
チャーリィは、アルジャーノンを調べた結果、自分の行く末を知ってしまうのですね。この苦しみは想像を絶するものがあります。
チャーリィは自分の知性が低下し、以前の自分のようになることを受け入れていく。
結末は、「アルジャーノンのお墓に花束を供えてほしい」というチャーリィのメッセージ。
知性が一時的に上昇し、知性を失ったチャーリィ。しかし、最後のメッセージを読むと、知性よりも大事なものがある、と思い知らされました。
「アルジャーノンに花束を」は、様々なテーマが扱われている作品です。↑では「知性を失ったチャーリィが失わなかったもの」に着目していますが、どこに着目するか?によって、この作品の主題も人それぞれだと思われます。
様々な味わいかたがあるのも、名作たる所以だと思われます。
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