あらすじ
進学を機に地方を離れた大学生の、帰省であった一夏の物語。
生まれ育った変わらない町並みや文化に心を落ち着かせ、
大人として地元の知人に迎え入れられることで自身の成長を感じつつも、
姿は変わらないのに自分よりも一歩先に大人になった旧友に心を動かされる。
一昔前の大学生、一昔前の田舎に一昔前の青春。
読者はこれらを追体験することが出来るだろう。
私には田舎というものがないが、田舎があったらきっとこのような所なのだろうと思った。
ここは変わらなくていいなぁ、という感慨は地元を出てった人間のエゴだし、
久々にあった友人が働き始め変わっていって、それに焦りを感じるもの自分勝手なこと。
でもそれを止めることは出来ない。
誰もが持っている、そのヒトだけの特別な思い出。
それを思い出すきっかけに本書がなってくれるだろう。
次に読む本
4TEEN(石田衣良)
東京の学校に通う男子中学生の日常物語。
恋をしたり、ケンカしたり、先生に怒られたり、変なクラスメイトがいたり、地元の有名なおっちゃんがいたり。
校則に縛られた中学生ならではの青春と冒険が短編でまとめられている。
自転車でどこまでもいける気がしたもの、ヤンキーの先輩が怖かったのも、14歳ならではの醍醐味。
あったあったこんなこと、を思い出してみませんか?
毎日仲間とくだらない話としょうも無い遊びに一生懸命だった14歳。
受験はちょっと先に見えているけどまだ当事者ではない14歳。
決して女の子にモテているグループではなかった14歳。
どっかで自分と重ねながら物語に入り込み、
主人公達を応援しながらページをめくっていくことになる。
石につまづいただけで笑ってたあの頃にタイムスリップできる。本書はそんな1冊である。
日田夏物語は地元の田舎での物語。
田舎にあるもの、地元を離れた者が求める者。
いつまでも優しい家族に変わらない町並み。そして当時の仲間達。
4TEENはその仲間達に特化した物語となっている。
変わらない町並みが当時の記憶の栞代わりになっていいて、
その栞の大多数を占めるのは仲間達との記憶である。
4TEENを読むことで仲間達との思い出をより強く蘇らせることで、
帰省という行為をより意味のあるモノにしてもらうため、本書を紹介したい。
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