『有罪、とAIは告げた』(中山七里)の次に読む本は

あらすじ

東京地裁の判事補・高遠寺円(こうえんじまどか)は、日々多忙な業務に追われていた。そんな中、中国から「AI裁判官」こと「法神2号」を試験導入する話が持ち上がる。
どこの裁判所も猫の手も借りたいほどの忙しさで、総括判事の寺脇に打診を受けた円は、その導入を検討し始める。

当初、円を含む判事たちは「法神2号」に懐疑的だった。
ところが「法神2号」に担当判事の過去の裁判記録を学習させると、その判事と寸分違わぬ判決を示すのだった。
その能力が次第に知られると、判事たちは自らの判決の正確さを検証するために「法神2号」を利用し始める。

しかし次第に、AIが出した判決をもとに人が判断するという、本末転倒な関係が生まれていく。
AIが人を支えるのか、それとも人がAIを補完するのか。その境界はあいまいになり、円は次第に「法神2号」の存在に疑問を抱き、使用を続けてよいのか悩むようになっていく。

「法神2号」は、各判事の過去判例を学び、まったく同じ内容の判決を一瞬で導き出す。
その精度と速さに驚かされる一方で、人は時間をかけて考え抜き、ようやく結論にたどり着く。けれども、その結論はAIと同じなのだ。

そう考えると、人が考えること自体が無駄に思えてくる。しかし本作は「それで本当にいいのか」と問いかける。そこがこの物語の醍醐味である。

私自身も、計算が速く正確であるならAIが代わりを務めてもよいのではと思っていたが、読み進めるうちにAIの限界が見えてきた。
やはり主役は人であり、AIは優秀な道具にすぎない。その道具をどう使うか次第で、仕事の効率も品質も大きく変わるのだと強く感じた。

次に読む本

『被告人、AI』(中山七里)

東京都内で、一人暮らしの高齢者・浅沼啓造が突然死した。
心臓疾患を抱えており、ペースメーカーを装着していたが、そのペースメーカーが停止したことが死因とみられた。

浅沼は、人ではなく介護ロボット「N365」に日常の世話を任せており、そのロボットに「リタ」という名前を付けていた。
調査の結果、浅沼の死亡当時、リタが害虫駆除機能である高周波電磁波を発していたことが判明する。

やがて、死因はリタによる高周波電磁波の影響とされ、検察はリタを“被告人”として起訴することになった。

舞台は東京地裁。担当判事の一人は、かつてAI裁判官「法神2号」の導入検討を任された高遠寺円(こうえんじまどか)だった。

リタはなぜ高周波電磁波を出したのか。そこに“殺意”はあったのか。前代未聞のAIを被告人とした裁判が、いま始まる。

リタは自ら移動し、会話するロボットであり、第4世代のAIを搭載している。
そのせいか、物語が進むにつれ次第に人間らしさを帯びていく姿が印象的だった。

ロボットのように話すことと、人間のように話すこと。その違いはどこにあるのか。
読んでいて何度もうなずかされる場面があった。リタを通して、AIと人との違いを改めて考えさせられた。

おススメポイント

2作とも中山七里さんの作品であり、『有罪、とAIは告げた』を読んだ後に『被告人、AI』を手に取ったとき、共通する世界観を感じて興味を持った。
『有罪、とAIは告げた』は、AIが人の代替となりうるのか、その限界はどこにあるのかを描く。
一方、『被告人、AI』では、意思を持つ可能性を秘めたAIという新たな存在と向き合う。

「法神2号」以上の高性能なAIが登場し、単なるプログラムから“意思を持つ存在”へと進化する姿を通して、人間とAIの境界にあるテーマをより深く実感できる。

そのため、連続して読むことで、AIと人間の関係について立体的に考えるきっかけとなるだろう。




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