「一分間だけ」(原田マハ)の次に読む本は

犬が教えてくれた”「一分間」の重み”

あなたなら、忙しない毎日に残された時間が限りあるなかで、「一分間だけ」時間があったら・・・
どんなことを誰としたいですか?

関わる人との間でその濃さは変わり得るのかもしれない

“限られた時間のなかで、大好きな人と如何に過ごすか“
著者の原田マハさんは、短い人生における大いなる問いをこのタイトル名に込めたかったのかもしれない。
物語を読み終えた後、この題名の意味に涙が止まりませんでした。。

あらすじ

物語の舞台は、東京調布。

ストーリーをざっくり表すと、東京郊外に暮らすふたりが迎え入れた犬のリラとの日常や会社員生活の人間模様、動物を愛情を持って育てることの葛藤を描いたハートフルロマンス小説です。

小説の主人公は、ファッション誌編集部で働くおしゃれ好きなアラサー編集部員・藍と紙面広告でタイアップすることになったフリーランスのコピーライター・浩介。

とある企画で、藍の雑誌に広告提供することになった浩介が打ち出したコピーに、藍は風が吹き抜けるような衝撃を受ける。それがきっかけで同棲をはじめ、主夫のように自由に家事や仕事、マイペースに働く浩介に代って、藍は出版社で朝から深夜まで激務ながらも自分の仕事に誇りを持ち、俗にいう花形部署でバリキャリOL生活を送っていた。

優秀な部下・奈津美(通称ナッツ)に助けられながら仕事も恋愛生活も順調に回っていたはずだったがーーーーーーー

これまた、とある動物紙面企画で訪れたペットショップで、心を奪われてしまう。

一分間見つめあった先にいたのは、翌日売れなければ殺処分行きとなっていたゴールデンレトリバーの雄・リラだった。

リラがここにいる背景を知って、藍は不規則な仕事にも関わらず、浩介を説得してふたりで飼うことを決める。

・あと五分だけ…暖かい布団で寝かせて…

・残業終わるまで…後一時間だけ、待ってて

・あと一時間だけあったら…リラと「雨の匂いや花の香り、道端のありんこ」当たり前じゃないささやかな景色を一緒に感じていたい

・(物語のラストで)「あと一時間なんて贅沢言わないから…あと一分間だけ…」

毎日の小さなものに喜びを見つけるリラとともに過ごすうちに、変わっていく時間の重みと大切さ。

しかし、しだいに生活は余裕がなくなり、二人の関係にもひびが入っていくのだが…

ラストの展開に、動物が繋いでくれた宝物とは何か考えさせてもらった。

動物と暮らすためには

・十分な生活費を稼ぐこと

・ただそばにいてケアをする時間があること

どちらも削ることができないジレンマですが、この小説では、その命の重みや現実についてとてもリアルに、そして感情豊かに語ってくれている。

人間にとっては無価値な常識も犬にとっては宝物だったり。その逆もある。

果たして、ずっと見つけたかった幸せは取り戻せるのだろうか。

ぜひ、タイトルに注目して読んでみてください。

これから犬を飼う、もしくは飼っている方、旅立ちを見送った方に読んでほしいと思える小説でした。

心に響いたフレーズ

ー動物病院の宮崎先生の言葉「小説のタイトルに込められた想い」

p.211

「一年間も、一分間も犬にとっては一緒。

(・・・)

それが犬にとっては一番大切なことなんです。」

(・・・)括弧内の言葉はネタバレになるため、割愛しますが…気になる方はぜひ、本編で確かめてみてください。

タイトルの意味を通して、リラちゃんが藍と浩介に伝えたかった想いなんだと思った。

これだけ、涙が止まらなかった小説に出会えたのは久しぶりでした。

ー情景や犬の感情が浮かぶ「擬態表現の豊かさ」

以下は、いずれも愛犬リラちゃんの様子を表したもの。

p.12

「さわさわと床の上を行き来する」

→ウロウロよりも

通ると、そよ風が吹くような優しい表現に聞こえる

「しっぽをぱたんぱたんと鳴らして」

カタカナよりも優しく、嬉しそうな感情が伝わってくる

動物を飼うということの尊さ・決してファンタジーにはいかないリアルな描写が、共感を誘って惹き込まれる。
フリーランスと会社員のジレンマ・現代で働くことの現実を見事に描き上げています。

そして、誰もが人には見えない事情や過去の葛藤を抱えているということ。
著書で語られる、エゴイストと呼ばれる敏腕編集長・北条恵子も後悔が消えない思い出を抱えていた。

その人の語られない事情を知ることで、理解できる一面や見えてくる本質があったりする。
働いていると出くわす、癖のある上司にも、あえて人には言わない一面があるもの。
藍と編集長・北条さんの関わりの変化にも必見です!

あと一分間だけあったら、、この本とお弁当を持って浜辺ピクニックをしたくなりました。

次に読む本

「一日の体調を整える朝のヨガ」(サントーシマ香)

本著は、以下の5つのチャプターで構成されています。

1.インド・スリランカの伝統医学「アーユルヴェーダ」に学ぶ朝じかん・5つのエレメント

「アーユルヴェーダ(AyusVeda)」とは、サンスクリット語で「生命真理」を意味する言葉。あらゆる体験で変化していくバランスを、瞑想や呼吸、ヨガ、食事を通じて心身の健康を保つ予防医学を指す。アーユルヴェーダによると、宇宙に存在するすべてのものは「ヴァータ空・風/ピッタ火・水/カパ水・地」の五つの元素で構成されている。この元素を三つの性質に分類したものがヴァータ・ピッタ・カパだ。

一日をこのエネルギー変化に合わせて、ギアを調節していくと心地よい眠りや翌朝の目覚めに繋がっていくそう。

本著に述べられているように「はあ、幸せ」と誰かにとって、ではなく、自分自身が心地よいと感じる「好き間=隙間」を昼間の活動中に組み込めると、爽やかな明日を迎えられそうですね。

2.心身のバランスを整える呼吸

朝のリラックスや集中力upに整えたい呼吸について、目的別に紹介

3.目的の効能別朝yogaのポーズ

血流や冷え改善、便秘や背中のこり、自律神経など整えたい目的に合わせたヨガのポーズを紹介

4.吉祥を呼び込む朝の瞑想

心の天気はその日によって変わるものですが、なるべく朝の清々しい場所で心のチューニングを穏やかに調律できたら、どんな日でも少しだけ前向きになれそうですね。そんな朝に行いたい瞑想と呼吸法について紹介

お気に入りのヒーリングミュージックとともに自分の心と向き合う時間をつくってみようと思います。

5.心にまきたい朝・昼・夜の幸せの種

著者の方が実践されている、自分なりの幸せアクションについて紹介

肌に合いそうなものから取り入れてみるのも良さそう

読みどころ

・ブルーライトを浴びたくない朝の公園でやりたくなるようなヨガポーズが筋トレ効果別に紹介されている

・読むだけで清らかになれる優しい言葉選び

ヨガの本は本著だけでなく、たくさん出回っていますが、ポーズに特化しているなど、文章にまであまり気を遣っているものは多くないと感じる。

本作は、著者の方が執筆も担当されているようで、「読むヨガ本」としてふと、心がザワザワした時に開くのをおすすめしたい。これをすると絶対いい!という押し付け表現ではなく、著者さんの実体験を交えて、読者の気持ちに寄り添って優しい言葉で丁寧に言葉を選んでいる印象を受けた。

実際に、疲れた時にお守りのように、私は持ち歩いて読んでいます。

その時に見聞きした言葉で人の感情は作られていくものと、どこかで聞いたことがあるが、同じ朝を迎えるならば、なるべくフレッシュな空気の集まる場所で、優しい声かけを自分にも手向けていけたら1日のはじまりが軽やかになりそうですね^^*

・コラムの質が高い

一つ一つのコラムに、カナダでの暮らしの心地よい習慣について書かれているのだが、今日これやってみよう、明日〇〇してみよう!と思える気づきがあるのが嬉しい。

印象に残ったフレーズ

p.16

『身に起こるすべてのことは宇宙へのラブレター』

本著では、身の回りのあらゆる行為は自分自身に返ってくる、と語られている。

親切や思いやりが笑顔の輪になって広がるように、悲しみや怒りの刃も時として、予期せぬ場所・タイミングで伝染してしまうもの。

だからこそ、落ち込んだ時には自分が心地よいと思う空間、たとえば波打ち際や緑豊かな公園など、ここに行けば気持ちが安らぐ自分なりのパワースポットをいくつか見つけておくと、穏やかな波動が自分に返ってきやすい。

“今ここにいる自分へ何を手向けるか

どんな種をまいていくか

畑にいる重要人物は他ならぬ私自身だから、今この瞬間の私を大切に扱って、自分がしてもらったら嬉しいことを周りの人へのアクションに代えて一日の質を高めていくこと“

当たり前のようでこの言葉にはハッと気付かされるものがあった。

落ち込んでいても一日は過ぎていくものだから、優しい気持ちになれるスポットを見つけて波長をチューニングする。

そんな余白を朝の時間に作ろうと意欲が湧きました。その時々の感情をあるがままに受け止めつつも、気分転換できる空間を知っておくことは情報の目まぐるしい現代に必要な知恵なのかもしれない。

動物の気持ちに浸って、さっぱり涙を流した後は、愛犬と一緒にヨガ本を開いて、一分間だけ…!一緒に瞑想してみませんか?^^*
大好きな人や動物とそばにいて、心の波動を合わせる贅沢な朝時間におすすめなのが次の一冊です。

すでにご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、改めてこの本とともに朝の過ごしかたを見つめてみると、見えてくるものがありそうです。

おススメポイント

今回ご紹介した二冊は、小説とヨガ本でジャンルは異なりますが、どちらも限られた1日、時間のなかでより豊かに生きるためには?
人生の永遠のテーマでもある問いについて、何かしら自分の暮らしへのヒントや気づきをもらえる二冊だと感じました。




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