「1本60円のアイスを売って会社の価値を4倍にした話」(飯塚周一)の次に読む本は

あらすじ

新潟で1916年に創業した老舗企業の株式会社セイヒョーは、かき氷バー「もも太郎」をはじめ老若男女に愛されるアイスクリームを提供している会社だ。
この企業はなんと2022年4月からわずか1年で時価総額が3倍になったという。
本書は営業マンから10代目代表取締役に上りつめた飯塚氏の自伝として、この飛躍的成長を支えた彼の仕事のスタンスや、資本提携により飛躍的に知名度を上げた手法が述べられている。
飯塚氏には幼い頃からの家庭環境への劣等感を逆手にとって養った人間観察力があった。そこから相手の立場でものを考えられる力を身に着けたのだ。
その後セイヒョーに入社して営業職として働く中、考えることこそ自身を向上させる唯一の方法であること、ネガティブな感情をコントロールすること、積極的かつ謙虚であることの大事さを学んだと述べられている。
2020年からのコロナ禍において上場廃止の危機に直面した時は資本提携による資金調達により、設備を増強するとともに投資家の期待を上げて株価上昇をはかった。この時に活かされたのも、資本提携先の代表の考えを見極めることができた人間観察力だったのだ。
その後、セイヒョーに躍進をもたらしたのは外部のプロであるクリエイターに仕事をまかせることで生まれたWeb動画広告とSNSを活用したマーケティングだった。これにより知名度の低さを克服し、若年層も取り込んで躍的成長を遂げることができたのだ。

そら丸
そら丸

ビジネスは自分自身、社内、社外も結局は人であることがわかる内容の本です。AIなどのテクノロジーや投資など金融手法は一見華やかに見えますが、それを活用し、広げていく相手は人です。日々自分はどのような「考え」に基づいて言葉を発して行動し、他の人にどのように接しているのかを振り替えるきっかけを本書は与えてくれるでしょう。

次に読む本

日本の人的資本経営が危ない(佐々木 聡)

80年代に人本主義として人的資本経営の先駆者だった日本企業は、その後のインターネットなどの新たなテクノロジーとデジタル化等への対応に遅れ、人への投資もOJT中心に留まり、欧米企業に大きな遅れをとってしまった。人材投資額にして2000年からの14年間でのGDP比では米国の60分の一という有り様である。
その後、2018年に国際標準化機構(ISO)により定められた人的資本情報開示のガイドラインISO30414を受け、経産省は国内企業に向けた「人材版伊藤サポート」を発表。経営戦略と人材戦略の連動、As IsとTo Beギャップの定量把握、人材戦略の実行を通した企業文化の醸成の重要性を促してきている。2022年は人的資本経営元年と宣言された。これらの基盤として人事情報を全社で一元管理し戦略人事を推進できる企業が今後競争優位性を発揮できるはずだ。
対外的にはESG投資のSocietyにあたる部分として、ますます人的資本開示が求められてきている。開示先は株主だけでなくステークホルダー全体を意識する必要がある。問題は投資家が人材投資を重視しているのに対して企業は設備投資つまり、モノやカネをまだ重視しているという実態である。投資家は企業の未来の成長力をみており、企業は誠実な態度で独自のストーリーの中で情報開示を進めていく必要がある。
開示にあたってはWhyとHowに該当する定性情報とWhatに該当する定量情報を組み合わせて投資家をはじめとするステークホルダーと継続的に対話していくことが求められる。
企業の人事部自体も人的資本を強化し、業務の選択と集中、HRBPへの権限委譲とアウトソーシングの活用、HRデータの活用などを推進していくことが肝要である。

そら丸
そら丸

2023年3月期の決算から有価証券報告書にも人的資本開示が義務付けられ、ますます企業はステークホルダーを意識した透明性の高い経営が求められます。人的資本の重要性を認識し、組織の成長と競争力の向上に向け、企業は従業員一人ひとりに向き合っていくスタンスが必要となります。統合報告書だけでなく人的資本報告書を独自に作成・公開し、経営戦略に基づくユニークな人材戦略とその定量指標を掲げている企業と、対応が後手に回っている企業ではますます競争力の差が開いていってしまうでしょうね。

おススメポイント

そら丸
そら丸

地方の老舗企業株式会社セイヒョーはいわゆる人的資本経営を実践している大手企業ではないですが、代表の飯塚氏が事業運営のベースとしている「人間観察力」は人的資本経営を実践する上でとても必要な能力だと思い、関連する本として取り上げました。
鍵っ子としての劣等感から生まれた人間観察力と相手の立場でものを考える力。人にはそれぞれの育ちと能力があり、一見すると弱点に見える部分も活かし方しだいでは大きな武器になりますね。この視点は人的資本経営においても活かしていけるはずです。


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