あらすじ
本を読めなくなった、読書好きな王様。ある日、ふたりの男を城に呼び、世界中のめずらしい本について情報を集め、その本について語って欲しいと告げる。旅に出たふたりは、たくさんの本の話を持ち帰り、王様に披露するのだった。
「その本は~」から始まる、数々のエピソード。そのバラエティーに富んだ内容と、ヨシタケシンスケさんのイラスト。非常に豪華でした。子どもにも読める内容が多いけれど、大人が読むとあらためてジーンと響く箇所がある。ゾクリとホラーなお話があったり、ウルウルする話、作者のお二人が伝えたいことを感じられるお話もあって、カジュアルだけれど味わい深い一冊だと思った。
次に読む本
「やんごとなき読者」 アラン・ベネット(市川恵里・訳)
ある日、城の裏庭で移動図書館車と、本を借りに来ていた下働きの少年に出会った女王。ためしに借りた一冊が、女王を本の虫に変えた。公務中に本を読んだり、社交の場でも読書の話題をふったり、と側近をはらはらさせるが、ユーモラスな内容でイギリスでもベストセラーとなっている。
エリザベス女王がもし読書に夢中になったら…という架空のお話ではあるが、誰もが、ふと出会った一冊によって読書が生きがいになる可能性があり(かくいう私もそう)、読書によって知識や感情が豊かになる女王を愛らしく思える作品だった。
「やんごとなき読者」は、先日ご逝去されたエリザベス女王が主人公ということで選びました。
二冊の共通点は、国のトップである「王/女王」が読書好きということ。いわゆる官僚と呼ばれる方々は、勤勉で読書家なイメージがつきやすいが、国の象徴に位置する人が読書好きというのは面白い設定だと思います。二人がどんな本を楽しんだのか、ぜひのぞいてみてください。
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