あらすじ
「お前はアキ・マケライネンだよ!」
母親にネグレクトされていたアキに俺が放った言葉だ
体が大きく、周りから恐れられていたアキ
その言葉がアキを大きく変えた
2人の高校生活は充実したように思えた
しかし、高校卒業後2人は苦難に陥る
社会の理不尽さに直面するのであった
それは少しづつ心と身体を蝕んでいった
貧困、虐待、過重労働などの社会問題を辛辣に描いた物語
俺たちは息を殺しながら生きていくしかないのか…
今日もまた、夜が明ける
「助けてください」
そう言えない、頼れないのはこの社会のせいかもしれません
お隣に住む人はどんな人か知っていますか?
デジタルコミュニケーションが主流となった現代
人と人とのつながりが希薄になっている気がします
また、人と比べられやすいのも事実です
SNSでは他人の人生が簡単にのぞけてしまいます
なぜ同い年なのにこんなにもいい生活をしているんだ?
なぜ私の方がこんなにも頑張っているのに報われないんだ?
自分が劣っているように感じてしまいます
人に頼ったら負けだ
負けていると思われたくない
頼ることが難しい社会
誰かに頼ること、誰かに手を差し伸べることがもっとできればこの2人には違った夜が明けたのかもしれません
次に読む本
小説8050(林真理子)
ある日、近隣で事件が起こった
ひきこもりの息子が母親を殺したのだ
事件を起こしたのは80代の親がひきこもりの50代の息子を世話する家庭だった
ひきこもりの息子を持つ夫婦は私たちも将来そうなってしまうのではないかと不安になる
このままでは我が子を手にかけ、自分も死ぬしかない…
父親は息子が不登校になった原因を探るため、息子と向き合う
果たしてこの家族はどうなってしまうのか
8050問題という社会的問題にフィーチャーした作品
ひきこもりの子どもへの正しい向き合い方
子どもからみた親の存在の大きさ
今の日本で起きうる辛辣な親子の物語
8050問題とは80代の親がひきこもりの50代の息子あるいは娘を世話すること
ひきこもりという言葉ができるほどまでに社会現象になった当時の人たちは今や50代に、その親は80代になったことからこの名前がつけられました
子どもが親に手を出す事例が増加し、問題視されています
本書ではひきこもりになってしまった息子の原因はいじめでした
親は当然「学校に通え」と言います
それも世間体を気にしてるから出る言葉
しかし、子どもからしてみれば唯一の味方でいてほしかった親に裏切られたような気持ち
この二者のすれ違いが非常にもどかしかったです
そして、揺れ動く両者の気持ちが細かく描かれていて、感情移入してしまいます
ひきこもりの子どもを持つ家庭の難しさ、脆さが辛辣に描かれていました
明日にでも起こる事件かもしれません
この本を読んだ後では見て見ぬふりはできません
これら2冊の共通点は社会問題です
1冊目は貧困、ネグレクト、過重労働
2冊目は8050問題、ひきこもり、いじめ
これらの社会問題に直面する人々の感情の変化が細かく描かれています
怒り、悲しみ、妬みなど人間のうちに潜む負の感情が溢れ出ています
作中の登場人物らはどう乗り越えようとしていくのか
社会問題の行く末とは
どれも身近な問題だけれど誰しもが目を背けたいものばかりだが、正面から向き合ったこの2冊には作者の気迫が伝わってきます
人は孤独では生きていけないということがよくわかる本
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